皆さんはRPO(採用代行)というワードを聞いたことがありますでしょうか。

近年、【人的資本経営】が注目される中でこのRPOも徐々に浸透しつつある言葉かと思いますが、具体的にどういったものなのか知らない方も多いのではないでしょうか。

「求人を出しているがなかなか採用できていない」

「そもそもRPOってなにか分からない」

「RPOのノウハウを知りたい」

「RPOを活用してしっかり採用していきたい」

本記事ではそういった皆さんの疑問や声にお答えする内容となっておりますので、ご一読いただければ幸いでございます。

RPOとは

RPO(Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用プロセスの一部または全部を外部の専門業者にアウトソーシングすることを指します。具体的には、求人の広告から応募者の選考、面接の設定、最終的な採用決定までのプロセスなどを専門家が依頼した企業の人事担当社様に代わって行います。

RPOが注目される理由

近年RPOが注目度をあげている理由は大きく2つあります。

採用難易度の高まり

少子高齢化による労働人口の減少は採用市場に大きな影響を与えています。まさに人材獲得競争の激化が進んでおり、これはこの先ますます激しくなっていくと予想されます(今日より明日、明日より明後日、のほうが採用は難化すると言っても過言ではありません)。

例えばですが、応募が5件来ているのに1件も採用ができなかったり、説明会に来た新卒の学生は沢山来たのに、応募してくれた学生はほとんどいなかったり、その手前の母集団自体が難しかったり…私のクライアント様の中でもよく聞くお悩みです。

そんな中、今までの採用手法をおこなっているだけでは人材獲得はとても難しくなっています。

今後、競合企業との差別化を含めた採用戦略の立案・よりきめ細やかな応募者とのコミュニケーション・長期的育成計画が求められていきます。 RPOに関しては基本的に”人事のプロフェッショナル”と言われる方や、採用や面接活動を数多くこなしてきている方から社外視点での実務の代行や意見ももらえたりするので、「実は自社で見落としていた観点」や新たな気づきなども得られるかと思います。そういった意味でアウトソースする意味を感じ、RPOの必要性が高まってきていると考えられます。

応募者価値観の多様化

新卒のいわゆる「Z世代」を筆頭に、働くことに対する価値観が多様になってきております。転職者の、企業に求める条件もコロナをきっかけに大きく変わりました。 以下の図がZ世代(1990年代後半~2010年生まれ)とY世代(1981年~1995年生まれ)それぞれの仕事における特徴をまとめたものになります。

Y世代はその前の世代であるX世代(いわゆる団塊世代)と、Z世代の価値観が混合した世代であると言えます。

ワークライフバランスを重視する人がいる一方で、「出世」や「社会的意義」を求めるキャリア志向の人も多いのがY世代です。一方でZ世代は転職を前提に入社していることも多く、会社での出世や社会的意義はあまり求めない傾向にあります。それよりも自分の好きなことがやれるか、フラットな環境で働けるかなど、いい意味で「自分中心」の考えを持つ傾向にあります。

今後はそういった価値観の変化を受け入れつつ、「求職者に選ばれるためにはどうしたらいいのか」を考えながら採用を行っていく必要があるのです。

そして上記はあくまで世代で区切ったところの例です。他にも多く違いは挙げられます。

となると、どうやって訴求したら良いか?は迷いますよね。 RPO業者ではそれぞれ得意としているターゲット領域などもあったりしますので(弊社で言えば、若手の採用に特化しています)、そういったターゲットに近い業者様を探して、依頼するという手段も1つ有効な手として挙げられます。

RPOの具体的な業務

依頼するサービス内容によっても変わりますが、基本的なサービス内容は以下になります。

・事業戦略に基づく採用計画の立案
・目指すべき人物像の策定
・選考業務(求人管理、説明会企画・実施、書類選考、面接日程調整、面接実施、合否連絡など)
・内定者研修企画
・採用後の定着支援
・育成プログラム設計

採用代行と聞くと、応募管理や面接対応などをイメージされる方が多いのですが、その前段階であるそもそもの採用計画の立案やターゲット選定、採用後の育成計画など 業務内容は多岐に渡るのです。

RPOを導入すべき企業は?

では、ここからは、「結局うちの会社はRPOを入れたほうが良いのか?」という疑問にお答えできればと思います。私個人としては、「すべての会社がRPOを利用すべきだ」とは思っていません。自社の状況(リソースや採用知見度合い)を鑑みながら必要であれば、有効な手段として考えてみる、というのがおすすめです。

内部のHRリソースが限られている

当たり前ですが人手が限られていると、採用にかける時間はそれだけ少なくなりますよね。

採用以外の業務(従業員のトレーニング、給与管理、福利厚生の管理など)も存在するため、実際の採用業務との両立はとても大変です。 両立しようとして応募者への対応が遅れてしまったり、そのほかの業務がおざなりになってしまっては元も子もありません。RPOを導入することで、これらの採用以外の業務に集中でき、結果生産性をあげることが可能なのです。

採用に関するコスト削減

皆さんは、1採用にかかる費用をご存知でしょうか?求人、説明会、内定者への研修費用 など、1人獲得するのにも多くの費用が必要になると言われています。リクルート「就職白書2020」によると、一人あたりの採用単価は新卒採用が93,6万円、中途採用は103,3万円と発表されており、非常に高い金額がかかっていると言われています。

一方RPOの費用相場は月30~40万程度が相場です。「アウトソースするのにコスト削減ってどういうこと?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、RPOを導入することで採用単価を抑えられる可能性は大いにあります。

加えて、現状せっかく採用したのにすぐ辞められてしまうというといった企業様も多くいらっしゃいます。かなりコストを無駄にしてしまっていますよね。

RPOは先ほどお伝えした通りプロが採用業務を行いますので、求職者と企業のミスマッチを極限まで減らすことが可能です。その結果、採用後も退職を防ぐことができ無駄なコストを減らすことができるのです。 そして、コストというのは何も“金銭”だけではありません。“時間”というコストもその1つです。自社で内製化するのは非常に良いことなのですが、「HR歴●年」や「1000人以上の面接をしてきた」など、やはり経験から得てきたプロフェッショナルさというのは、すぐに獲得できるものではありません。そういった意味でRPOは“速さ”を時間で買うという考え方もできるのです。

採用の質を向上させたい企業

ここでいう採用の質とは、「組織への貢献性が高く、ミスマッチが少ない人材を獲得する」ことであると置いています。

[採用に関するコスト削減]でも少し触れましたが、採用してもすぐ辞めてしまう・優秀な人材をなかなか採用できていない、このような課題は多くの企業が抱えています。
PROでは実際の採用代行を行う前に、採用計画の立案・その企業に最適なターゲット選定を行うことで採用後のミスマッチを起こさないよう対策します。

さらにRPOは、一朝一夕でうまくいくものではありません。採用プロセスのデータを分析し、継続的な改善を行うことで採用の質を向上させていきます。採用プロセスの各段階でKPIを設定し、これを基に問題箇所を特定して対策を講じます。つまり、RPOを継続して利用することで採用に関する問題はどんどん改善されていき、結果採用の質が上がるのです。

以上3つをまとめると、RPOを導入すべき企業とは、「採用の質をあげたいと思っているものの社内での人手や時間のリソース不足・ターゲット選定ミスなどの要因からうまくいっておらずコストが無駄にかかってしまっている企業」と言えます。

RPOを利用するメリット・デメリット

RPOにはメリット・デメリットが存在します。
以下ではそれぞれ解説していきます。

メリット

専門性の高さ

人事担当を置いていない企業様の場合は特に、採用についての専門性はそこまで高くない場合がほとんどです。

採用をあまり深くとらえられていない方もいらっしゃいますが、採用市場のトレンドや最新の採用技術は日々変化が激しく、情報を都度アップデートしていく必要があります。しかし実際は目の前の業務に追われてなかなかそこまで手が回らないですよね。 RPOは採用のプロが行いますので市場のトレンドや最新の採用手法を踏まえながら専門性高く採用業務を遂行することが可能です。

結果的に、より御社に合った人材の確保に繋がることでしょう。

業務の負担軽減

採用には多くの工数がかかります。求人作成・応募者対応・面接・合否連絡などなど…。先述した①に繋がる部分でもありますが、採用業務を本業としていない担当者様がこのような業務を全てこなそうとするとかなりの業務量となってしまいます。

両立しようとした結果、どちらも中途半端になってしまうようなことは避けたいですよね。 RPOを利用すれば、こういった採用業務はすべて委託できるので担当者様のリソースを本業にそそぐことが可能になります。

柔軟性

一度採用担当者を置いてしまうと、採用活動が活発でない時にもコストがかかってしまいます。RPOは 採用担当者を内部に立てるのではなく外部へ委託するため、企業の成長や縮小に応じて、柔軟にリソースを調整することが可能になります。

デメリット

社内にノウハウが溜まりづらい

社内の採用担当者の育成が進まない可能性があります。
永続的にRPOを使い続けるならいいのですが、いずれ「自社の採用リソースのみで採用していきたい」と考えている場合は注意が必要です。

RPOの担当者に全て任せてしまうのではなく、日頃から情報を共有しあいながら業務を“見える化”して、学ぶところは学びに行くということをしていく必要があります。

ミスマッチが起きる可能性

事前のコミュニケーションがうまくいっていないと、人材のミスマッチが発生しかねません。実際の採用業務を行う前に、企業文化や価値観、事業戦略などをきちんと策定し共有する必要があります。あくまで組織や人材の戦略は、経営や事業戦略との一貫性が大事になるので、依頼する前に自社でしっかりと言語にしておくようにしましょう。

サービス品質のばらつき

サービス品質は委託する事業者によって大きく異なるのが実情です。適切な事業者を選定しなければ、期待する成果が得られないリスクがあります。そうならないためにも、いい事業者を選ぶ必要があります。例えばですが、若手と管理職を採用するというのは違った難易度があります。管理職層の採用は収入相場、業務内容、キャリアパスなど具体的に気にされますし、若手だと、「自己成長性出来る職場か?」という観点のみで見ている方も事実いらっしゃいます。そのRPO業者の強みと、貴社の課題が必ずしもマッチしてるわけではないので、そこの確認を怠らないようにしましょう。

この3つのデメリットを考えると、社内で採用に関するノウハウを持っている大手企業様などは無駄なコストになりかねないので、HRテックや採用以降の定着や活躍化に向けてのコンサルティング費などに費用を回すのが無難です。リスクや得られるもの/留意しないと失うものもちゃんと踏まえて、RPOの導入を考えてみてくださいね。

良いRPO業者の選び方

では、どのような事業者を選ぶのが良いのでしょうか。
必ずしもこれが正解というわけではありませんが、良い事業者に共通しているポイントをいくつかご紹介します。

サービスのカスタマイズが出来る

特定のニーズに応じてサービスを柔軟にカスタマイズできる場合、コストを抑えながら利用が可能となるので事業者を選ぶポイントの一つとなります。

また企業の成長や変動する採用ニーズに対応できる事業者は、長期的に信頼もできますよね。 例えば、短期間で大量採用が必要な場合と、特定のスキルを持つ専門人材を少数採用する場合とでは、採用手法やプロセスが大きく異なります。RPOはそういったニーズにも柔軟に対応することが可能です。

コミュニケーションとサポートがしっかりしている

事前のすり合わせで会社のカルチャーや今後の事業戦略などをヒアリングしてくれたり、進捗状況を随時報告してくれる事業者を選ぶようにしましょう。

先ほどもお伝えしましたが、双方のコミュニケーションがとれていないと採用のミスマッチを引き起こす要因となります。
RPO事業者もそれは分かっているため、良い事業者であればしっかりコミュニケーションはとろうとするはずです。

価格が安すぎない

費用対効果を考えることは大事ですが、相場よりあまりにも安いという場合は注意が必要です。安い事業者はそれなりの理由がある場合が多いです。

たとえば代行業務を知識のない社員に任せていたり、一人で複数社を担当しているケースがあります。せっかくコストをかけたのに結局無駄になってしまっては意味がありません。

ただ安いという理由だけで選ばないようにしましょう。

さいごに

いかがでしたか?採用環境が目まぐるしく変化する現代において、企業が採用を成功させるためにRPOは重要な採用手段となっています。

採用したいけど社内でリソースが足りていない、自社に合ったターゲットが分からずミスマッチが起きている、そんなお悩みを持っている方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。