日々の業務に追われながらも、組織を支える要として期待される管理職。
しかし近年管理職は罰ゲームだと嘆く声が後を絶たないのも事実です。

部下の成長を促し、チームをまとめ上げ、上層部との折衝とやるべきことが山積みで、
心身ともに余裕がなくなってしまう場面も多いのではないでしょうか。

実際マイナビの調査によると管理職になり、心身の不調を感じた人は7割に及ぶというデータもあります。

https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/21

一方で、管理職として充実感ややりがいを得ている人たちも存在します。
同じ立場なのに、なぜこんなにも差が生まれるのでしょうか。

もし、「うちの管理職たちは総じて疲弊しきっている」「管理職を増やしたいのに誰も手を挙げない」と感じているなら、
管理職が罰ゲーム化する背景や要因を明らかにし、対策を講じることが必要です。

本記事では、罰ゲーム化する管理職の実態やその背景、やりがいを感じている管理職との違いを探りつつ、
どうすれば管理職の負担を軽減しモチベーションを高められるかを考察していきます。

なぜ管理職が“罰ゲーム化”するのか?

管理職が罰ゲームだと感じる背景

管理職は、組織の中でも特に責任が重く、時に板挟みとなりがちな立場です。
上からは業績達成や部門の統制を求められ、下からは部下の育成やメンタルケアが期待される。

さらに自分自身のプレイヤー業務もこなしながら、トラブル対応や各種申請業務、プロジェクトの進行管理などにも追われることがあります。

こうした役割の広がりに対して「給与や手当が思ったほど上がらない」「裁量権は増えたが、時間的・精神的な負担が大きすぎる」という不満を抱くケースが少なくありません。
業務量は確実に増えているのに、その分の見返りやサポートが不十分だと感じられると、「自分だけがこんなに苦労している」と思い詰めてしまいがちです。

さらに、プライベートの時間や家族とのコミュニケーションが減ってしまう状況も、
管理職が罰ゲーム化していると感じる大きな要因の一つです。

残業の増加や休日の業務対応に追われる一方で、
管理職としての責任感から「休むに休めない」というジレンマに陥り、心身のバランスを崩してしまうこともあります。

責任の重さと孤立感が生むストレス

管理職は責任が重いだけでなく、往々にして孤独を感じやすいポジションです。
部下の前では弱音を吐けないという意識や、同僚とも気軽に悩みを共有できない雰囲気によって
「誰にも相談できず、自分一人で解決しなくてはならない」というプレッシャーを抱え込む人が多くいます。

特に、部下の能力や性格との相性によって評価が左右される、いわゆる部下ガチャとも呼ばれる運要素が重なると、
管理職自身が不本意な評価を受けたり、手間やストレスがさらに増したりすることも。

「結果が出ないのは全て自分の責任になるのか」という行き場のない苦しさが膨らむと、管理職はますます疲弊してしまいます。

そのため、相談相手がいないまま限界を迎え、「もう管理職を降りたい」と考える人が出てくるのも無理はありません。
結果として管理職候補が育たず組織全体に悪循環が広がってしまいます。

こうした事態を回避するためにも早期のサポート体制づくりが重要です。


やりがいを感じている管理職も存在する理由

管理職として満足度が高い人の特徴

「罰ゲーム化する管理職」の増加が指摘される一方で、「管理職になって良かった」という声も確かに存在します。
たとえば、
給与アップによる金銭的な安心感や
裁量の増加による自己決定の自由度が高まったこと
部下の成長を見る喜び
等々を理由に挙げる管理職が多いです。

とりわけ、部下のサポートやチーム運営に意欲的で、
実際に成果が出ている管理職の場合、そのポジションに大きな意義を感じる傾向があります。

部下と日常的にコミュニケーションをとり、こまめに声がけや指導を行うことで人材育成の手応えを得やすいからです。
さらに、自身の権限が拡大したり視野が広がったりする事によって、キャリアアップを実感しながら働ける点も魅力と言えます。

こうした人たちは、「自分に合ったマネジメントスタイル」を見出していることが多いのが特徴です。

一方的に指示を与えるのではなく、部下の性格やスキルを尊重しながら適切にアドバイスを行ったり、
業務の進め方を一緒に考えたりといった形で、チームを支えようとしています。

「部下と共に歩む」という姿勢を貫くことで、人間関係が円滑になり、管理職としての活動そのものに楽しさを見いだせるのです。

ポジティブな変化につながるマインドと行動

やりがいを感じている管理職が重視していることの一つが「周囲へのオープンな姿勢」です。
チームメンバーへこまめに声をかけるだけでなく、自分の上司や同僚にも積極的に相談・共有を行っています。

これによって「孤立しない」状況を作り出し、ストレスを溜め込みにくい環境を確保しているのです。

また、変化やトラブルに対しても前向きに取り組み、試行錯誤を惜しまない姿勢が垣間見えます。
上司や外部の専門家の意見を取り入れながら、自分のやり方をブラッシュアップしていく学習意欲が高いのも特徴でしょう。

こうした行動力が、最終的にはチームのパフォーマンス向上につながり、自分自身の評価や満足度も上げる良循環を生み出しています。

もちろん、仕事量が多いことに変わりはありません。
しかし、管理職としての役割を「自分が成長するチャンス」と捉えたり、「やるべきタスクを見える化して効果的に管理する」ための工夫をして、精神的な負担をコントロールできる人もいます。
結果として、「やりがいは大きく、疲弊するばかりではない」と感じられる状態を作り出しているのです。

会社として取り組むべき対策とサポート

管理職を罰ゲーム化させない制度づくり

管理職が罰ゲーム化してしまう大きな要因の一つは、組織としてのサポートが不十分なまま、
様々な業務責任を丸投げしてしまう点にあります。

そこで必要なのは「管理職になった時にスタートする研修」や「定期的なコーチング」、そして「相談窓口やメンター制度の整備」です。

たとえば、管理職に任命する前後でしっかり研修を実施することで、
マネジメントの基礎やトラブル対応の基本ルール、部下育成のコツなどを体系的に学んでもらうことが効果的です。

同時に、社内外のコーチや経験豊富な先輩管理職がフォローアップを行い、
現場で生じた疑問や葛藤を適切に相談できる場を作ることも大切になります。

こうした仕組みがあれば、時間や人手の不足を嘆いている管理職にとっても、自分のキャリアを前向きに見直すきっかけを得やすいでしょう。

さらに、評価制度や給与体系の見直しも欠かせません。
給与が伸びない、あるいは管理職手当があまりにも少ない状態だと、「責任だけが増えて負担が報われない」と感じる人は多くなります。
管理職の職務範囲や負担を客観的に評価し、適正な報酬で応えることで、人材が自発的に上位職へチャレンジしようとする流れを作ることができます。

コミュニケーションと学習の場を広げる重要性

管理職の孤立を防ぐためには、組織内のコミュニケーション設計が欠かせません。
定例のミーティングだけでなく、同じ悩みを共有できる同僚や先輩管理職との交流会・勉強会を定期的に開催することは有効策の一つです。
「私だけが苦しんでいるわけではない」と気づくだけでも、精神的な負担が軽くなることがあります。

また、学習の機会を拡充することもポイントです。
管理職向けにマネジメントやリーダーシップ、コミュニケーションスキルなどを深める講座・ワークショップを用意するのは効果的です。

さらに、外部の勉強会やセミナーへの参加を奨励することで、
組織の外に知見を求める選択肢が生まれ、視野の狭さからくるストレスを軽減できる可能性があります。

こうした取り組みは、短期的にはコストや時間が必要に思えるかもしれません。
しかし、長期的には管理職の離職や組織活力の低下を防ぎ、より大きな損失を回避するうえで重要な投資になるでしょう。

管理職が罰ゲーム化して離職やモチベーションの低下が進めば、その影響は組織全体に及びます。
早めに手を打つことで、企業としても大きな成長ができるはずです。


まとめ

管理職が罰ゲーム化する背景には、業務と責任の拡大に対して適切なサポートや制度が追いついていないという問題があります。
一方で、やりがいを感じている管理職は、部下とのコミュニケーションや自己成長の機会を重視し、孤立しない環境を自ら作り出しているという特徴があります。

そうした人材を増やすためには、まずは組織として「管理職を丸投げにしない」仕組みを整えることが不可欠です。
具体的には、管理職研修やコーチング、メンター制度の活用といったフォロー体制の構築や、適切な評価・報酬設計が大きなカギを握ります。
また、社内外を問わず、人とつながる機会を意図的に設定し、孤立しないように導く環境づくりも欠かせません。

「罰ゲーム化する管理職」から脱却していくためには、当事者が個人の努力で何とかしようとするだけでは限界があります。
むしろ、組織全体としてマネジメントの重要性を認識し、共通の課題として取り組むことが最も効果的な方法です。

管理職は企業の成長を加速させる重要な役割を担っています。
だからこそ、彼らが自分の仕事に誇りと自信を持ち、組織と協力し合いながら活躍できる未来を実現していきましょう。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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