人材活躍
【人事担当者必見!】若手社員を活躍させる企業の特徴とは?
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若手社員の現状と社会課題
「今の若者は…」という言葉をよく耳にします。実はこのフレーズ、古くは古代エジプトの壁画に「最近の若者はなってない!」という文字が残っていたり、【枕草子】や【徒然草】にまでそういった類の書き出しがあったり、大昔からよく使われていたフレーズだったそうです。
おそらく、いつの時代も、若者というのはエネルギッシュで、且つやっかいさも兼ねた、磨けば光る原石のような存在だったのでしょう。今回のテーマは、そんな若者、つまり「若手社員をどうやって戦力化していくのか?」。皆さんの企業も含めて大手・中堅・中小企業など従業員規模や資本に関係なく、若手社員の戦力化は、常に課題となっているのではないでしょうか?
さて、若手社員を戦力化する方法の話をする前に、現代の職場環境が若手社員にとってどのようなものであるかを理解することから始めましょう。
現代におけるテクノロジーの急速な進化、ワークライフバランスの難しさ、そしてグローバル化の進展は、常に彼らに新たなスキルセットと適応能力を求めています。例えば、「老後2000万円問題」「年金払い損問題」「退職金制度の廃止」などの問題は、「若いときはバリバリ働いて老後になったら楽するぞ〜!」という過去の代表的な社会人モデルを神話化したと言っても過言ではないでしょう。
こうしたキャリアパスの不透明さの中で、適切なリーダーシップやマネジメントを提供できない企業では、若手社員の不安と離職率を高めてしまいます。現代の若手社員が求めるのは、ただの仕事ではなく、【自己実現】と【成長】の場なのです。
では、私たちはどのようにして若手社員の期待に応え、会社と若手が共に成長していく環境を作り出すことができるのでしょうか?
ここでは、若手社員を支援し、活躍の場を広げるための具体的な施策を紹介していきます。 施策を通じて、若手社員の潜在能力を引き出し、その若手社員の属する皆さまの企業は繁栄していくことができるはずです。
若手社員を活躍させるための環境とは
オープンなコミュニケーション
さて、皆さんが考える「オープンなコミュニケーション」とはどのようなものでしょうか?
「オープン=コミュニケーション量を担保すること」と思われがちですが、そうではありません。ただ話を聞くだけではなく、実際に理解し合うことや対話が求められています。
企業においては、特に”若手社員が自由に意見を表明できる文化”を作ることが重要です。20・30代の社員は新鮮な視点を持ち、時には画期的なアイデアを提案することがあります。しかし、その声が「昭和的マネジメント」によって、上意下達、十分に聞かれていないことも少なくありません。
あのピクサーやGoogleでは、この問題に対処するために、従業員が自由にアイデアを共有し、互いにフィードバックを提供できるオープンな環境を実現しています。
例えば、Googleの有名な「20%ルール」と言われる制度では、社員が「自分自身のやりたいプロジェクトに取り組むための時間を確保すること」を奨励しているそうです。 皆さんの会社でも、若手社員が自由にアイデアを共有し、評価されるような取り組みを導入してみてはいかがでしょうか?思いがけない良いアイデアが発掘できるかもしれません。
メンター制度とサポート体制
若手社員にとって、キャリアの初期段階で適切な指導を受けることは非常に重要です。
メンター制度は、彼らが直面する業務上の挑戦を乗り越え、成長するための重要なフォロー制度となります。しかし、単に先輩社員をメンターとして割り当てるだけでは不十分です。成功するメンター制度は、相互の信頼が不可欠。
つまり、ただただ社内のエース人材を若手社員に付きっきりにさせるだけでは不十分なのです(むしろ、その不十分さは効力を発揮しないばかりか、例えば営業でいうとエース社員の売上も落としてくるなどのマイナス作用もはらんでいます)。メンターとメンティーの間で定期的なミーティングを設けたり、キャリアの目標や現在の課題について話し合ったりすることが重要になってきます。
アドビシステムズでは、メンター制度のプログラムを通じて、若手社員が専門的なスキルを磨き、キャリア目標を達成するためのサポートを提供しています。メンターからの具体的なフィードバックと指導は、うまく機能させれば、若手社員にとって貴重な学びの機会となります。皆さまの職場でも、メンター制度を充実させることで、若手社員の成長を加速させることができるかもしれませんね。
フレキシブルな働き方
現代の労働市場では、フレキシブルな働き方がますます重要になっています。特に若手社員にとって、仕事と私生活のバランスを保つことは、職場での満足度とモチベーションに直接影響すると言われております。
フレキシブルな勤務体制を導入することで、社員は自分の時間をより効率的に管理し、生産性を高めることができるのです。
例えば、SlackやZoomなどのツールを利用してリモートワークを可能にすることで、社員が自宅や好きな場所で働けるようにする企業もあります。これにより通勤時間が削減され、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなりますよね。
また、柔軟な勤務時間を設定することで、社員が自分の生活リズムに合わせて働けるようになります。 こうした施策は、捉えようによっては従業員満足度(働きやすさ)を高めるだけで、「若手社員を戦力化させる」という本記事の趣旨と違った捉え方を招くかもしれませんが、そんなことはありません。
部下の管理方法や適切な評価方法を用意することにより、リモートワーク下でも生産性を落とさず、むしろ効率的に働けているという声も、数多くの企業で聞かれています。
スキルアップとキャリア開発
若手社員のキャリア開発というと「会社は学校ではない!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それ自体はおっしゃるとおりなのですが、実はキャリア開発をすることが会社への貢献意欲やパフォーマンスの向上に繋がる事例も多くあります。そうした事例をもとに、ここでは社員のスキルアップやキャリア開発の必要性をお伝えしていきます。
継続的な学習と成長の機会の提供
現代のビジネス環境は常に変化しています。新しい技術、手法、理論が日々登場し、若手社員がこれらに迅速に対応できるよう、継続的な学習の機会を提供することが不可欠です(ChatGPTなどの生成AIの登場は人々の生活を豊かにすると同時にビジネスの世界では脅威として認識もされており、対応は必須だと言えます)。
しかし、忙しい業務の中で、どのようにして若手社員に学習の時間を確保させ、また、その学習が彼らのキャリアに役立つように、且つ組織の成果に還元するようにできるのでしょうか?
例えば、オンラインコースの提供、社内研修の充実、外部の専門家を招いてのワークショップの開催などが挙げられます。時間を確保しすべての社員が一律に受けられるようにするのも良いですし、希望制でもいいでしょう。学ぶ機会が提供され続けることが大切なのです(あくまで業務時間内で)。
もちろん若手社員側の学習意欲などにも左右されますが、このような施策を通じて、若手社員は新しいスキルを身につけることができ、自信を持って業務に取り組むことができるようになります。
キャリアパスと昇進条件の透明性
キャリアパスが不透明だと、若手社員は自分の将来に不安を感じ、モチベーションが下がりがちです。
若手社員が自分のキャリア目標に向かって具体的に何をすべきか、どのようなスキルを身につける必要があるかを理解できるように、キャリアパスの透明性を高めることが重要です。 株式会社三菱UFJ銀行は、行員1人ひとりが、明確にキャリアパスを描き、歩めるようにキャリアに関するきめ細やかなサポートを行っていると言われています。
自身の取り組みを振り返り、今後のキャリアについて考えさせる「階層別研修」。キャリアチェンジにトライできる「公募制度」などがあるほか、人事部内には「キャリア相談室」を設置しているそうです。
研修による機会の提供と、充実した制度やサポートによって、“この会社で“どのようにステップアップしていくかが想像しやすく、社員の成長と定着に繋がっているのです。
多様性と包括性の重視
多様性と包括性は、創造性やイノベーションを生むことにつながります。異なるバックグラウンドを持つ人々が協力することで、新しいアイデアが生まれ、問題解決のアプローチが広がります。
企業は、多様な人材が互いに学び合い、成長できる環境を作ることで、若手社員にとって刺激的な職場を提供できるはずです。
しかし日本では、多様性や包括性という言葉が独り歩きし、「性別や国籍が違う人を集める」という思考に至りがちです。こういった考えは表層のダイバーシティといわれ、性別や国籍に加えて、価値観や考え方まで多様性や包括性を求めていく“深層のダイバーシティ”こそ、意味を為すと言われています。
ジョブローテーションなどの制度も深層のダイバーシティを生み出す有効な手段です。短期的な視点では、「慣れた人が素早く仕事をする」というのが生産性を高める1番の手段ですが、こうした施策は中長期で活きてくると言われており、異なる職種や部署のメンバーが、異なる経験や価値観を基に対話し合う…そうした状態を意図的に作り出すことで、組織→企業の成長につながっていくのです。
最後に
若手社員の価値観や考え方、企業としての関わり方についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ひと昔前とは違う、大きな変化の波の真っ只中にいる若手社員(と企業)は、常に自らをアップデートし続けなければ生き残ることができません。成長機会を求めることは必然と言えるでしょう。
冒頭に、若手社員は「磨けば光る原石のような存在」と言いましたが、磨き方によってキラリと光る、エース級の存在になる可能性もあれば、原石のまま終わってしまう場合もあります。前者になるか、後者になるかは、半分は若手社員を育てる企業の体制次第だと私は思います。
皆さまの企業が様々な取り組みを通じ、若手社員がイキイキと活躍し続けられる職場となることを願います。