採用ターゲットの決め方とは?自社に合う人材を明確にする採用ペルソナの作り方

採用ターゲットの決め方とは?自社に合う人材を明確にする採用ペルソナの作り方

「採用活動をしているのに応募が集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」「採用コストばかり増えて成果につながらない」——このような悩みを抱える企業は少なくありません。

こうした問題の多くは、求人媒体や採用手法ではなく、「どんな人材を採用したいのか」が明確になっていないことが原因です。

採用市場が年々厳しくなる今、重要なのは「優秀な人材」を探すことではなく、自社で活躍できる人材を明確に定義することです。

本記事では、採用ターゲットの考え方から、MUST・WANT・NEGATIVEによる整理方法、採用ペルソナの作り方まで、自社に合う人材を採用するための具体的な手順をわかりやすく解説します。

採用コストは年々増加している

「求人広告を出しても応募が集まらない」「採用してもすぐに辞めてしまう」――そんな悩みを抱える企業は年々増えています。

その背景には、採用市場の競争激化があります。実際に、人材を1名採用するための平均コストは次のようになっています。

  • 新卒採用:平均93万6,000円
  • 中途採用:平均103万3,000円
  • アルバイト:平均6万3,750円

(出典:株式会社リクルート「就職白書2020」、株式会社ネオキャリア調査)

さらに少子高齢化による生産年齢人口の減少が進み、2040年には約1,100万人の労働力不足が生じると予測されています(リクルートワークス研究所)。

つまり今後は、限られた求職者を企業同士が奪い合う時代になります。求人広告費は上がり、採用活動はより難しくなり、「募集しても採れない」という状況は決して珍しくありません。

だからこそ重要なのは、採用予算を増やすことではなく、限られた採用コストで、自社に合う人材を効率よく採用する仕組みを作ることです。

採用コストを下げる鍵は「採用ターゲット」にある

採用コストを削減したいと考える企業ほど、求人媒体の見直しや広告費の削減に目が向きがちです。しかし、本当に見直すべきなのは「誰を採用したいのか」という採用ターゲットです。

採用ターゲットが曖昧なまま募集を行うと、応募は集まってもミスマッチが増え、早期離職や再募集によって結果的に採用コストはさらに膨らんでしまいます。

一方、自社で活躍できる人物像を明確にし、採用ペルソナまで設計できれば、求人内容や面接基準に一貫性が生まれ、採用の質と定着率の向上につながります。

本記事では、採用コストを抑えながら自社に合う人材を採用するために重要な「採用ターゲット」の考え方や、採用ペルソナの作り方について詳しく解説します。

自社にこそ合う人材を考える

誰もが欲しがる人材は狙わない

人事担当者Aさんに採用したい人材について聞くと「六大学を卒業して一定の教養があり、前職は同業界同職種の経験が5年以上になる即戦力。おまけにビジネス的なスタンスも兼ね備えていて、将来の経営側の候補にもなれるような存在を…」と仰いました。

皆様はこの発言を聞き、どのように思いましたでしょうか?おそらく「考えが甘すぎる」と思った方が多いのではないでしょうか?

 ただ、人間は、「他人の言動に対しては過ちやおかしさを感じつつも、自身の言動は気づきづらい」ものです(自己認識の難しさというのはそういうものです)。

私は今まで何百社の人事担当者様にお会いしてきましたが、やはり【“誰もが欲しがる人材”を欲しがる人事担当者様が9割】だったように思えます。 経営や事業戦略と同じで、人材の獲得(=採用戦略)も「何を捨て、何にこだわるか?」が重要です。

皆様の企業の人材選定基準の中で、譲れないスキルやスペック、価値観はありますでしょうか?加えて、「ここはいっそ持ってなくても良い」「妥協しても良い!」という能力やスペックはありますでしょうか?この、捨てても良い=持ってなくても良い部分を整理することが意外と大事になります。

自社に合う人材の考え方

自社に合う人材は、スキル・スペック・パーソナリティなどの部分でMUST(=必須要件)/WANT(=歓迎要件)/NEGATIVE(=除外要件)で分類することがおすすめです。

スキル:持っている能力、テクニカルな技術から、ポータブルスキルまで。応募者ができること。

スペック:持ち合わせている経験、経歴など

パーソナリティ:性格、志向(協調性、挑戦心、ストレス耐性)など

上記のような3観点で、まずは、自社のターゲットとなる応募者の“必須要件”から考えてみましょう。例えば、WEB広告の営業リーダー候補を採用したい場合…

  MUST WANT NEGATIVE
スキル ・基本のPC操作 (PowerPoint、Excel) ・WEBマーケの知識  
スペック ・営業経験(2年以上/ 個人・法人・業界不問)   ・提案型の営業経験 ・広告業界での営業経験 ・2名以上のマネジメント経験 ・チームで目標を目指し協業した経験がない(個人プレーのみ)
パーソナリティ ・何事も積極的に挑戦できる人 ・キャリアアップしていきたい人 ・フットワークの軽い方 ・人と話すことが好きな方 ・根気強く取り組める方 ・失敗を素直に認められない方 ・協調性のない方

上記のようにあらためて記載してみると、ターゲットを何となくイメージできると思いませんか?

また、“NEGATIVE“の要素も加えることで「こんな人だけは採らない方が良いかも(例えば営業職なのにコミュニケーションが苦手、あまり好きではない、等)」という人も整理できますよね。

そしてこれに加えて、さらに実在する人物が想像できるレベルまで人材像を作成したものが、“採用ペルソナ”になります。ここまで設定できるとより具体的なターゲット像がイメージできると思います。

採用ペルソナの作り方

採用ペルソナを設定することは、自社に合う人材を獲得するだけではなく、社内で欲しい人材を「共通認識として持てる」ということも重要なポイントになります。

採用は人事だけではなく、面接や育成などの観点で、社内において様々な部署の方が関わることになります。そのため、事前に認識をすり合わせておくことで、

  • 業務効率が上がる
  • 採用ターゲットの共有などにおけるコミュニケーションミスも減る
  • 面接の基準もバラけづらくなる

などのメリットが生まれ、スムーズ且つ、質の高い採用活動が可能になります。

特に他部署の方が採用の面接などをされる場合、自身と共通の特徴や価値観、経歴を持つ応募者に肩入れしやすいなどが起きてしまう可能性もあるため、やはり採用ターゲットを明文化しておく必要があるでしょう。

実際のペルソナは例えば下記のようなイメージです。

このようにしてみると、誰が見ても共通認識が生まれますし、自社にこそ合う人材をちゃんと定義していけそうですよね!こういったターゲットは一朝一夕で定義にすることは難しいですが、採用活動を行っていく中で、都度見えてきて、修正を繰り返していくものかと思っています。

そのため、初年度は採用の方向性が定まらず、採用にかかる費用が少し嵩んでしまうということがあるかもしれませんが、採用活動を重ねていくことで、採用ターゲット像がアップデートされていき、トータルの採用にかかるコストを下げていくことが可能です。

それでも、自社に合う人材がわからない方へ

ここまで、“自社に合う人材”を考える上で、スキル・スタンス・パーソナリティのMUST/WANTの整理や、採用ペルソナの概念について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか?

採用は勉強も探求もせずに、感覚で行うものではありません。採用ができている企業は、活動をする前に、しっかりとそれ相応の検討・整理を実施しているのです。

しかしそれが分かっても「なかなかターゲットを決めるのは難しい…」という方もいらっしゃるかと思います。そういったときは、下記のような手順で採用ターゲットを考えていきましょう!

上位の概念から整理する

まず、皆さんの会社における、

  • ビジョン、ミッション、バリュー
  • 経営戦略や事業戦略・計画
  • 採用の目的、背景

これらの概念から考えることが大事です。採用と経営・事業戦略を分けて考えるというのはよく陥りがちなミスとして上げられますが、人は、ヒト・モノ・カネなど言われるように、経営資源の1つですので、経営や事業の戦略などと紐づいている必要があるのです。

例えば、3年後に営業に力を入れて、自社商品・サービスの販路を拡大していこう!と考えている段階で、企画やスタッフ職に近い人材層だけ集めていても、中期に向けての計画の実現は難しくなってしまいますよね。

また、ビジョンとして顧客価値を追い求め続けている会社であれば、「営業はできるけど、顧客視点はあまりない」という応募者はカルチャーフィットせず、会社を離れてしまう事も考えられます。

こうなってしまうと、せっかく採用にかかったコストは無駄になり、また新しい人材を雇わなければいけなくなります。 そうなると、結果的に採用にかかるコストが増えてしまうのです。

社内での活躍社員の特徴(共通項)を再度整理し、言語にする

皆さんの会社にも、「こんな人がたくさんいたらいいのに…」という活躍社員の方はいませんでしょうか?

確かに多くの価値観や考え方を持つ方が集ったほうが、多様性による組織としての強さは生まれるわけですが、一方で、「後○人くらい、〜〜な人がほしい!」そう思うことはありますよね。

 活躍社員のどんなスキルが、どんなスペックが、どんな志向性が、その人を活躍社員足らしめているのか?このように考えると、1からMUST/WANTや採用ペルソナを捻り出すよりも効率的です。

例えば、下記のような分析の仕方が一般的です。

・直接観察:日常の業務中の振る舞いやコミュニケーションの仕方。

・インタビュー:活躍社員自身や同僚、上司にインタビューを行い、その人物がどのような能力やスキル、志向性を持っているかを探る。

・業績データの分析:具体的な業績データ(定量・定性)やプロジェクトの成果を分析。

などです。 ぜひ色々な角度から、活躍社員の特性を分析してみましょう。

適性検査の導入

またこちらは少し費用がかかりますが、個人のスキルや価値観・志向性をテストで分析し、“見える化”してくれる適性検査を導入するという考え方もあります。

 例えば、有名なのはリクルート社の“SPI”などですが、これは、「行動的側面」「意欲的側面」「情緒的側面」「社会関係的側面」と大きく4つの分類がなされており、例えば「積極的で、行動が先行するタイプ」や「高い目標や理想は持つが、行動は伴わないことがあるタイプ」など、テスト結果で分析することが可能です。

自社で採用ターゲットを明確に考える時間が無かったり、考えてはいるものの、ノウハウ不足で運用に落とし込めるレベルではないなどのお悩みがある方は、こうした見える化ツールを導入してみるのも、1つ手ではないでしょうか?

さいごに

名著『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』には、採用に対する姿勢を考えさせられる印象的な一節があります。

“ブルカートは、同社が勢いよく成長した時期にCEOのアラン・ウルツェルとこんな会話を交わしたと話してくれた。「あるとき、『アラン、このポストやあのポストに、まさに適切な人材がなかなか見つからないので、疲れ切ってきた。どこで妥協すればいいだろう』と聞いたら、アランは躊躇なくこう答えた。『妥協はしない。別の方法を見つけて、最適の人材を探そう』と」”

私が皆さんに一番お伝えしたいのは「採用の失敗は、教育では取り戻せない」ということです。

もちろん、人は成長します。しかし、会社の価値観や仕事への向き合い方が根本的に合っていない場合、それを教育だけで埋めることは決して簡単ではありません。

採用でミスマッチが起これば、採用コストが無駄になるだけではなく、現場社員への負担が増え、チームの士気や組織全体の生産性にも影響を及ぼします。最悪の場合、自社を成長させるために採用したはずの人材が、会社の成長を止めてしまう要因になることさえあります。

だからこそ私は、「採用だけは妥協してはいけない」と考えています。アラン・ウルツェルの言葉のように、妥協するのではなく、別の方法を考え、自社に本当に合う人材を探し続ける姿勢こそが、これからの採用には必要なのではないでしょうか。

今回は「採用コスト」をテーマにお話ししましたが、本当にコストを下げる方法は、広告費を削ることではありません。「自社に合う人材」を明確にし、その採用に徹底してこだわること。その積み重ねが、採用コストの削減だけでなく、社員の定着や企業の成長につながっていきます。

採用は、急がば回れ。

遠回りに見えても、自社に合う人材を真剣に考え抜くことが、結果として最も効率的で、最もコストのかからない採用戦略になると私は信じています。

本記事が、皆様の採用活動を見直すきっかけになれば幸いです。

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ABOUT US
塔筋大樹株式会社Tsumugu代表取締役
同志社大学卒業後、地元金融機関へ新卒入社。その後、株式会社リクルートジョブズ(現リクルート)へ中途入社。求人広告営業として全国トップクラスの営業成績を収め、営業リーダーや代理店支援を担当。その後、Indeed特別認定パートナーの株式会社アド・イーグル執行役員として営業・人事・企画領域を管掌。現在は株式会社Tsumugu代表取締役として、中小企業の採用・育成・評価・定着に関する課題に対し、データとAIを活用した人事支援を行っている。