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【1on1とは?やりかたは?】成功させる秘訣をご紹介
近年、「1on1」という言葉を耳にする機会がとても増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。
1on1(ワン・オン・ワン)は、上司と部下が定期的に行うマンツーマンのミーティングのことを指します。
リモートワークの普及や働き方の多様化に伴い、組織内でコミュニケーションの機会が減りがちな現在、
1on1の重要性はこれまで以上に高まっていると言えるでしょう。
1on1が注目される理由の一つとして、“社員の成長を促す”ことが挙げられます。
ただ上司が一方的に評価を伝える場ではなく、部下自身が主体的に考え、行動を起こすためのきっかけづくりになる点が大きな特徴です。
本記事では、1on1の目的や具体的な実施方法、さらに話すネタや導入時の注意点などを幅広くご紹介します。
もし「1on1を導入してみたい」「今の1on1に手ごたえを感じられない」などのお悩みがあるようでしたら、
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただけますと幸いです。
Contents
なぜ「1on1」が重視されているのか
リモートワークなど、多様な働き方でコミュニケーションが希薄化
在宅勤務やフレックス制度の活用など、働き方の選択肢が増える一方で、オフィスに全員が揃う時間が少なくなった企業様もあります。
そのため直接顔を合わせる機会が減ってしまい、雑談やちょっとした相談のタイミングがつかみにくくなりがちです。
こうした背景から「上司と部下がじっくり向き合える時間をあえて確保しよう」という動きが強まり、1on1を導入する企業が増えています。
個人のキャリア観・仕事観の多様化
新卒から定年まで同じ会社に勤めるのが当たり前だった時代はもう終わりを迎え、いまはキャリアの捉え方が本当に多様化しています。
仕事に重きを置きたい人もいれば、家庭との両立を優先したい人、
専門スキルを伸ばしたい人、起業を視野に入れている人など、社員が描く将来像はさまざまです。
こうした時代において、上司や人事担当者は従業員一人ひとりとしっかり対話しなければ、
本当に求めているキャリア支援やモチベーションアップ施策を提供できません。
1on1が注目されている背景には、「個に合わせたマネジメントが求められている」という時代の要請もあるのです。
1on1の実施と目標達成度合いの相関
パーソルグループの調査でも明らかなように、1on1を定期的に行っているチームでは、目標達成度が高まる傾向が報告されています。
上司と部下がコミュニケーションを重ねることで、進捗や課題をいち早く共有でき、スピード感を持って改善策を講じられるからです。
ポイント
- 1on1=ただの雑談ではなく、達成度合いを高めるために“進捗と課題”を共有する仕組みとしても機能します。
1on1の目的と期待できる効果
部下の成長促進
1on1の目的として、最も大きいのは**「部下の成長を促す」**ことです。
上司は、一方的に指示を出す場ではなく、部下からの話を引き出す“コーチ”のような存在になります。
- 具体例
- 上司が「最近の業務で困っていることはある?」と聞き出す
- 部下が「実は〇〇という工程で手戻りが多くて…」と悩みを共有
- 上司が「その工程をどう変えたら生産性が上がりそう?」と問いかけ
- 部下が「今のやり方に工夫を加えれば…」と気付き、新たなチャレンジを考える
こうした対話を積み重ねると、部下自身が課題を整理し、自分で解決策を導く力が身につきます。
上司は必要に応じてフィードバックやアドバイスを行いつつ、最終的には部下の成長をサポートしていくわけです。
組織全体のパフォーマンス向上
1on1は、部下個人のスキルアップにとどまらず、組織全体のパフォーマンスを底上げする効果も期待できます。
チーム内で「上司に相談しやすい環境」や「自分の成長を応援してくれる風土」が育てば、
自然と業務効率やモチベーションが高まり、やがて組織全体の成長へとつながります。
特に社員数が増えると、「一人ひとりの声が届かない」「評価制度の不満が表に出にくい」といった課題が起きがちです。
1on1を積極的に行うことで、問題の早期発見と改善のサイクルが回りやすくなります。
定着率向上と離職防止
「部下が成長を実感できる」「上司が自分をきちんと見てくれている」と感じられると、組織への愛着やエンゲージメントが高まります。結果として社員の定着率を高め、離職の防止にも有効です。
1on1がないと、部下は「評価面談や業務指示の場でしか上司と話せない」「上司に話してもすぐには聞いてもらえない」などの不満を抱きがちです。
1on1が浸透すれば、相談ごとやキャリアプランの共有がこまめに行われるため、早期退職やモチベーション低下を防ぎやすくなります。
1on1と人事評価面談・MBOの違い
1on1の特徴:対話重視のコミュニケーション
1on1は、部下の成長を引き出すための対話型コミュニケーションが基本です。
一方的に「今期の評価は〇点です」「目標を再設定しましょう」というような伝達やすり合わせをする場ではありません。
たとえば、上司の役割としては、
- 部下の声をじっくり聞く
- 部下に考えるきっかけを与える質問をする
- 成長を支援するフィードバックを行う
これらを通じて「部下が自分の可能性に気づき、自ら動き出す」ためのサポートを行います。
人事評価面談との違い
人事評価面談は、一般的に「四半期や半期に1度、評価結果をフィードバックする」場として使われることが多いです。
内容も「客観的に〇〇点だった」「次回は△△を目指してほしい」など、上司から部下へ一方向のコミュニケーションになりがち。
評価制度そのものを否定するわけではありませんが、どうしても“評価”という性質上、部下が素直に悩みや不安を話しづらい面も出てきます。
MBO(目標管理制度)との違い
MBO(Management By Objectives)は、目標設定と達成に向けたプロセス管理を重視します。
1on1とは相性が良く、MBOが定める目標・プロセスを進めていくうえで生じる悩みを1on1で解決していくイメージです。
つまり1on1は、「目標達成の手段として部下をフォローする場」としてMBOを補完してくれます。
1on1を実施する際の注意点
1on1はメリットが多い一方で、実施方法を誤ると「ただ時間だけかかって成果を感じられない」といった事態にもなりかねません。
ここでは、失敗を防ぐために意識したいポイントをまとめました。
時間的負荷が高まる可能性がある
部下一人ひとりと月1回・30分の1on1を行うとしても、部下の数が多い上司ほど時間的な負担が積み重なります。
加えて、ミーティングの準備や振り返りの時間も必要です。
対策
- 育成を強化したい特定の社員から優先的にスタートする
- 1on1支援ツールやタレントマネジメントシステムを利用し、事前質問表や会話ログを共有する
ツールを使えば、事前アジェンダの提出やメモの一元管理ができるため、上司も効率よく1on1に向き合えるでしょう。
信頼関係を築いている“つもり”にならない
1on1を実施しているだけで、部下と充分な関係性が築けていると思い込むのは危険です。
普段の仕事の場面でも、部下に声をかけたり、ちょっとした雑談で近況を確認したりしておかないと、
「1on1だけが対話の場になってしまう」リスクがあります。
信頼関係は、一日にして成らず。1on1以外でも自然にコミュニケーションを図り、お互いをよく知る努力を続けましょう。
雑談で終わってしまうことがある
1on1の場がカジュアルになりすぎて、「今日は雑談しかしていなかった」というケースも少なくありません。
もちろんプライベートな話題に触れること自体は悪くないのですが、“目的”を毎回確認することが大切です。
対策
- 目的や期待するアウトプットを部下と共有し、話す内容を事前に整理してもらう
- 前回の振り返りやToDoを確認することで、議論を深める
上司が一方的に会話をリードするのではなく、部下にも主体的に準備を促すことで、1on1の質がグッと高まります。
効果が出るまでに時間がかかる
「1on1を導入したらすぐ成長が目に見える!」というものではありません。1on1は部下の主体性を育み、会社に対するエンゲージメントを高める**“長期的な投資”**といえます。効果がなかなか見えない期間も、定期的にPDCAを回しながら粘り強く続ける姿勢が重要です。
1on1で話すテーマ・ネタの例(目的別)
「1on1の大切さはわかったけれど、何を話せばいいか分からない…」という声もよく聞きます。
ここでは主な目的別におすすめの話題をまとめました。
目標・ミッションの進捗確認
目的:業務目標の達成度や課題を早めに共有・修正したい
- 「現在の目標に対して、どこまで進んでいるか」
- 「目標の達成を阻んでいる要因は何か」
- 「追加でサポートしてほしいことや、体制面での要望はあるか」
仕事の悩み・不安の共有
目的:部下が抱える悩みを早期発見し、メンタル面の不調を防ぐ
- 「最近、大変だと感じることは何?」
- 「プロジェクトメンバーとのコミュニケーションで困っていない?」
- 「作業量や残業の状況はどう?」
キャリア・強みのサポート
目的:部下のやりがい向上と、将来的な人材育成
- 「今後、どんなキャリアを描きたい?」
- 「自分の強みはどこだと思う?」
- 「会社からどんな支援を受けたいと感じている?」
メンタル面のフォロー
目的:うつなどのメンタルヘルス不調を未然に防ぐ
- 「気持ち的に落ち込んでいない?」
- 「しっかり休息を取れている?最近の睡眠はどう?」
- 「ストレスの原因になっていることがあれば教えてほしい」
雑談ネタを活かした相互理解
目的:人間関係を円滑にし、気軽に声を掛け合える雰囲気づくり
- 「週末はどんな過ごし方をしたの?」
- 「最近ハマっている趣味やドラマはある?」
- 「今度おすすめの〇〇を教えてくれる?」
ポイント
- 1on1は「相互理解」を深める場として、業務外の話題も取り入れることで、よりフランクに本音を話せるようになります。
1on1を上手に進めるための導入手順
ここからは、具体的に1on1を導入するステップを解説します。
ステップ1:目的を明確にし、組織に共有する
もっとも大事なのは、**「なぜ1on1をやるのか」**を明確にし、組織全体で共有することです。
人材育成を強化したいのか、離職率を下げたいのか、業務の進捗管理をしたいのか——。
それらの目的を全社員に周知することで、「忙しいのに1on1をやらされているだけ」といった不満を和らげます。
経営陣からの発信も重要
- 経営戦略や人材育成の方針と、1on1を結び付けて発信すると説得力が高まります。
ステップ2:日時・場所・頻度を決める
1on1は週1回〜月1回など、企業やチームの状況に合わせて無理のない頻度で設定しましょう。
時間は30分〜1時間程度が一般的ですが、忙しい時期などは臨機応変に調整します。
また、「いつ・どこで行うか」も意外と重要。
周囲の目が気になると部下が本音を話しにくい可能性もあるため、場合によってはオンラインやリラックスできるカフェを選ぶなど、柔軟な工夫を取り入れることも検討してみてください。
ステップ3:ミーティング実施・傾聴のコツ
1on1を行う際は、できる限り**“部下主体”**で進めるのが理想的です。
上司はあれこれと口を出しすぎず、部下の言葉を引き出すように心掛けましょう。
- 5つの傾聴ポイント
- 質問を投げかけ、部下に考えを促す
- 目線を合わせ、適度な相槌で「聞いているよ」の姿勢を示す
- すぐに正解を押し付けない(部下が自分で気づく時間を尊重する)
- 良い面を見つけて褒める(成功体験を意識させる)
- 否定よりも“共感”を大切にする
その上で、必要に応じてアドバイスやサポート策を提示すると効果的です。
たとえば部下が特定のスキルアップを望んでいるなら、
「研修プログラムを紹介する」「プロジェクトメンバーに加えてみる」といった機会を提供してあげましょう。
ステップ4:継続的に実施し、振り返り&改善する
1on1は“継続”が命です。初回でうまくいかなくても、定期的に実施するなかで部下も徐々に慣れてきます。
大切なのは、フィードバックを踏まえたPDCAのサイクルを回すこと。
- Plan(計画):目的や目標設定、アジェンダ作成
- Do(実行):定期的に1on1を実施
- Check(評価):部下の反応や進捗、組織全体のエンゲージメントを確認
- Act(改善):話しにくい雰囲気はなかったか? アジェンダの作り方は適切か? などを見直す
こうして少しずつ内容をブラッシュアップしながら1on1を継続していけば、
部下とのコミュニケーションが習慣化し、組織に根付いていくでしょう。
まとめ|1on1を通して目指す理想の組織像
1on1とは単に「上司と部下が雑談する場」ではありません。
目的を明確にして定期的な対話を重ねることで、部下が自ら課題を見つけ、解決策を考え、実行する“主体性”を育む場です。
その結果として、上司と部下の間には強い信頼関係が生まれ、組織力も高まっていきます。
- 部下にとって:
「自分が認められている」「成長を支援してもらえている」という実感が、仕事のモチベーションアップにつながる。 - 上司にとって:
日頃から部下の状況を把握しておけるため、早期に課題を発見・解決でき、結果的にチーム全体の成果に結びつく。 - 組織にとって:
定着率向上、離職率の低下、パフォーマンスの向上など、長期的に見て大きなメリットが期待できる。
最初から完璧を目指す必要はありません。
1回あたり30分程度でも、まずは始めてみることが大切です。
定期的に実施してPDCAを回しながら、自社に合った1on1の形へと進化させていきましょう。
そうすることで、社員一人ひとりが活躍し、組織全体が成長し続ける文化を作り上げることができます。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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