なぜ今、管理職は「罰ゲーム」とまで言われるのでしょうか。
昔のように「昇進したい」という部下は減り、価値観は多様化しました。さらに、ハラスメント対策やリモートワーク、AIの普及など、管理職に求められる役割は年々増えています。
本記事では、現代のマネジメントが難しくなった理由を整理し、これから管理職に求められる考え方や組織づくりについて解説します。
マネジメントは、なぜここまで難しくなったのか
近年、「管理職は罰ゲーム」といった言葉を耳にする機会が増えました。
実際に、リクルートマネジメントソリューションズやパーソル総合研究所などの調査でも、管理職を取り巻く環境は年々厳しさを増していることが指摘されています。成果へのプレッシャーに加え、ハラスメント対策や多様な価値観への対応、人材育成など、管理職に求められる役割は以前よりも大きく広がっています。
しかし、かつての日本では管理職は多くの社員にとって目標となる存在でした。終身雇用や年功序列が一般的だった時代は、昇進がキャリアのゴールであり、部下も上司と同じ道を歩むことを前提に働いていました。そのため、自らの経験をもとに部下を育成し、組織をまとめるマネジメントが機能しやすい環境だったのです。
ところが現在は、転職や副業が一般化し、働く価値観やキャリアの選択肢は大きく多様化しました。管理職には成果の創出だけでなく、部下の成長支援やエンゲージメント向上、多様な働き方への対応など、これまで以上に幅広い役割が求められています。
かつては「組織を引っ張る存在」として憧れの対象だった管理職が、今では「罰ゲーム」とまで言われるようになった背景には、こうした時代の変化があります。
では、具体的に何が変わり、なぜ従来のマネジメントが通用しにくくなったのでしょうか。ここからは、過去と現在を比較しながら、その理由をわかりやすく解説していきます。
なぜ現代のマネジメントは難しくなったのか
現代のマネジメントが難しくなった最大の理由は、働く人の価値観やキャリアの選択肢が大きく変化したことです。
かつての日本企業では、終身雇用や年功序列が一般的で、多くの社員は「昇進すること」を目標に働いていました。そのため、管理職自身が歩んできた経験をもとに部下を育成しやすい環境だったと言えます。
一方、現在は転職や副業、リスキリングが一般化し、「管理職になること」だけがキャリアのゴールではなくなりました。この変化によって、従来のマネジメントが通用しにくくなっています。
過去のマネジメントが機能した理由
以前の日本企業では、「長く働き、成果を出せば昇進できる」という共通認識がありました。そのため、管理職は自らの経験を伝えながら部下を育成し、「自分のように成長してほしい」というマネジメントが成立しやすい環境でした。
また、転職が一般的ではなかったことから、社員は長期的な視点で会社に貢献し、社内でキャリアを築くことを前提に働いていました。こうした環境が、高い競争意識や仕事へのモチベーションにつながっていたのです。
現代はキャリアの選択肢が多様化している
現在は、昇進だけがキャリアの成功ではありません。専門職として技術を磨く人、転職によってキャリアアップを目指す人、副業や独立を視野に入れる人など、働き方は大きく多様化しています。
実際に、リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2022」では、管理職になりたいと回答した人は全体の約2割にとどまっています。
つまり、「昇進したければ頑張ろう」という従来のマネジメントだけでは、多くの部下のモチベーションを高めることが難しくなっているのです。
価値観の変化がマネジメントを難しくしている
キャリアが多様化した背景には、社会環境の変化があります。
- 人生100年時代による長期的なキャリア形成
- 終身雇用の見直しと転職市場の拡大
- AIやデジタル技術の急速な進化
- 将来への不確実性の高まり
こうした変化によって、社員それぞれが異なる価値観やキャリアプランを持つようになりました。その結果、管理職には「全員に同じ指導をする」のではなく、一人ひとりに合わせたマネジメントが求められるようになっています。
現代の管理職は「板挟み」になりやすい
現代の管理職は、経営層と部下の間でさまざまな役割を担っています。
経営層からは業績向上や組織改革、人材育成を求められる一方で、部下には働きやすい環境づくりやキャリア支援、エンゲージメント向上が求められます。
さらに、ハラスメント対策やダイバーシティへの配慮、リモートワークへの対応など、管理職が担う役割は以前よりも大きく広がっています。
このように、成果を求められながらも、多様な価値観を持つ部下を支援しなければならないことが、現代のマネジメントを難しくしている大きな要因といえるでしょう。
現代のマネジメントで求められる管理職とは
マネジメントが難しくなった今、「優秀なマネージャー」とはどのような人なのでしょうか。
かつては、自ら成果を出し、その経験を部下へ教えられる人が優秀な管理職とされてきました。しかし、価値観やキャリアが多様化した現在では、それだけでは十分とは言えません。
これからの管理職には、部下一人ひとりの強みを引き出し、自律的な成長を支援しながら、組織の成果へつなげる力が求められています。
リクルートワークス研究所では、その考え方の一つとして「ジョブ・アサインメントモデル」を紹介しています。
ジョブ・アサインメントモデルとは
ジョブ・アサインメントモデルとは、部下に仕事を割り振るだけではなく、仕事を通じて成長を支援するマネジメントの考え方です。
主なポイントは次の5つです。
- 目的発信:仕事の目的や組織の方向性を自分の言葉で伝える
- 強み発見:弱みではなく、一人ひとりの強みに目を向ける
- 職務分担:強みを活かせる仕事や挑戦の機会を与える
- 達成支援:適切なタイミングで支援し、自律的な成長を促す
- 振り返り:成功・失敗を言語化し、次の行動につなげる
重要なのは、管理職が答えを与え続けることではありません。部下が自ら考え、成長できる環境をつくることが、現代のマネジメントでは求められています。
管理職を育成するポイント
優秀なマネージャーは、一度の研修で育つものではありません。
管理職研修では、知識を学ぶだけでなく、実践と振り返りを繰り返しながら、自分のマネジメントを改善し続けることが重要です。
また、パーソル総合研究所の調査では、年代が上がるにつれて学習時間や学習意欲が低下する傾向も示されています。そのため、管理職任せにするのではなく、企業として継続的に学べる環境を整える必要があります。
Tsumuguでは、一度きりの研修ではなく、継続的に学び合う「コミュニティ・ラーニング」を推奨しています。
研修を単発のイベントで終わらせるのではなく、実践・振り返り・フィードバックを繰り返すことで、マネージャーの成長だけでなく、組織全体に学ぶ文化を根付かせることができます。
まとめ
現代のマネジメントが難しいと言われる背景には、働く人の価値観やキャリアの多様化、AIやテクノロジーの進化、人材不足など、さまざまな環境変化があります。
かつてのように「昇進」や「経験」を前提としたマネジメントだけでは、部下の主体性やモチベーションを引き出すことは難しくなっています。これからの管理職には、部下それぞれの価値観や強みを理解し、それぞれに合った成長機会を提供しながら、組織の成果につなげていく力が求められます。
また、マネジメントは管理職個人の努力だけで解決できるものではありません。企業として管理職研修や1on1、ジョブアサインメント、人材育成の仕組みを整え、継続的に支援していくことが重要です。
管理職が変われば、部下が変わる。部下が変われば、組織が変わる。
株式会社Tsumuguでは、中小企業の人材育成や管理職研修、組織開発をご支援しています。現代のマネジメントに課題を感じている企業様は、お気軽にご相談ください。




















