公正さが確保されていない組織がどうなるか、ご存知でしょうか?

社員からはさまざまな観点での不満が上がり、優秀な人などの離職にもつながっていきます。

要するに、組織で最も担保しなければいけないのは公正性。

ですが、組織のすべてを平等・公平・公正のいずれかで一律には語れません。

社員側も、平等・公平・公正についてはっきりと区別したうえで「不平等」「不公平」といった不満を挙げてくるとは限りません。

社員に理解を求めるためにも、まずは平等・公平・公正の違いを学び、組織の満足度向上に役立てましょう!

塔筋 大樹

全体像もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください!

【監修者】
株式会社Tsumugu 代表 塔筋 大樹
リクルートを経て、2023年よりアド・イーグルHD役員へ。同年、株式会社Tsumuguを設立。10年以上の経験を通じたHR領域のプロとして、「お客様と伴走する人材コンサル」を展開している。

平等・公平・公正の違い

企業の規模が大きくなるにつれ、社員からはさまざまな不満が上がるようになります。

「待遇が平等じゃない」
「評価が不公平だ」

ただ、これらの不満に用いられる単語が正確な意味で使われているかどうかはケースバイケース。

また、平等・公平・公正の違いを知らないと、善意で始めた施策に反発が出ることも。

塔筋 大樹

弊社のお客様でも、良かれと思ってやったことの意図が社員にうまく伝わっておらず、裏目に出ていたケースがあります。

経営判断の基準として、それぞれの単語の違いを認識しておきましょう。

平等=同じ条件を与える

平等は、一言で表すと「全員に〇〇を」という考え方。

具体的には、以下のようなものが当てはまります。

平等性の例

【組織内の例】
・同一賃金
・全社的に同じ研修を受けさせる
・全員を一律の評価項目で採点
・社員に均一の福利厚生を与える

【政策などの例】
・基本的人権
・ベーシックインカム
・教育の無償化

「全員に同じものを同じだけ渡す」「同じルールを適用する」という考え方が平等です。

平等は分かりやすく、経営側としても説明しやすい一方で、個人の状況や部署間の違いなどを考慮しづらい弱点があります。

この「スタートラインの違い」を考慮したものが公平です。

公平=状況に応じて配分を変える

公平さは、個人それぞれに応じて配分や支援を調整する考え方。

公平性の例

組織内の例
・働き方の選択肢を増やす
・障がいを持つ人への合理的配慮
・オンライン選考や交通費補助

政策などの例
・アファーマティブ・アクション
・学校における特別学級の設置

アファーマティブ・アクションとは、人種や性別などが原因で差別を受ける人が出ないよう積極的な是正の措置を取ること。

特別学級なども、ハンデを持つ人が他の人と同じように教育を受けられるよう設置されています。

このように、スタートラインの違いによって損をする人が発生しないよう是正された状態を、主に公平と呼びます。

一方、組織で最も複雑化するのがこの公平性。

経営層は公平だと思っていても社員には伝わっていなかったり、平等と公平の概念を混同しながら議論してしまうケースが多々あります。

また、職種間の評価における不公平を是正しようとするあまり、成果を出せる優秀な人が不満を抱いてしまうことも。

公平は「配慮の設計」であると同時に、「納得の設計」。

「どこまで考慮すべきか」が組織における公平性の鍵となりますが、平等にせよ公平にせよ、まずは公正性が必要。

公正性とは、大元のルールや構造に正当性があるかどうかです。

公正=基準と手続きに筋が通っている

公正は「判断基準が明確で、手続きが一貫し、説明できる」状態を指します。

こうした公正性は、特に「手続き的公正」と呼ばれます。

公正性の例

【組織内の例】
・評価基準が言語化されている
・誰が見ても判断のプロセスが追える
・例外を作るなら、例外の条件が明確
・異議申し立てや見直しの仕組みがある
・上司によって評価が極端に変わらない運用がある

【政策などの例】
・教育制度の改革
・雇用機会の均等

このように、ルールや構造そのものに正当性があるかどうかを公正性と呼びます。

公正性の確保と、その周知は組織づくりの土台となりますので、筋の通った判断基準を整備しましょう

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組織において重視すべきは?

結論から言うと、まずもって組織が確保しなければいけないのは公正性。

公正さが担保されている状態でこそ、公平性を保つための施策にも納得感が生まれます。

逆に、公正性がない状態で公平さや平等さを実現しようとすると、配慮がえこひいきと思われかねません。

公正が弱い状態で公平を増やすと、配慮がえこひいき疑惑につながります。

そして、企業において最も優先順位が低いのは「平等」。

残念ながら、平等になにかを与えても、不公平は解消できません。

組織の平等、公平、公正については、以下の順序で整えるのがオススメです。

組織にオススメの手順

① まず公正性を整備する
② どこに公平性を与えるべきかを考える
③ 最後に平等性を考える

これらを、順を追って見ていきましょう。

まず公正さを整える

組織に最も必要なのは公正性。

特に、手続き的公正は、組織における透明性の土台となります。

まずは、以下の点を実施しましょう。

手続き的公正の確保

・評価や権利について、明確な基準を示す
・基準についての情報を公開する
・基準を運用し、不満を汲み取る窓口を作る

手続き的公正が未整備だと、次のような不満や問題が発生します。

「評価は結局、上司の気分」
「なにがどう評価されているのかわからない」
「ハラスメントの相談先がない」

こうした不公正な状態は、社員の満足度に影響するだけでなく、優秀な人の離職などにもつながります。

塔筋 大樹

事業戦略に必要な人材が流出していまいますので、要注意です!

優秀な人の離職については下記の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひ併せてチェックしてみてください!

どこに公平性を与えるべきかを考える

後述しますが、組織において完全な公平は実現できません。

無制限に公平を突き詰めようとすると、運用コストが跳ね上がるだけでなく、かえって扱いに偏りが出てしまうことも。

よって、どこまで公平性に配慮するのか、線引きしておかなければいけません

ポイントは「公平にすべき領域」と「差がついてよい領域」を分けることです。

公平性にまつわる二つの領域
公平にすべき領域差がついてよい領域
安全
健康
働く権利
合理的配慮
挑戦の機会
挑戦の結果
報酬の上振れ
昇格のスピード
(ただし、公正性があることが前提)

公正性を担保した土台で、挑戦の機会に選択肢を設けられるのが、伸びる組織の特徴です。

最後に平等さを整える

組織での平等さを整備するのは、最後にしましょう。

組織において平等さを確保すべきは、以下のような点です。

組織で確保すべき平等の例

・コミュニケーションの機会
・必要な設備やツールの提供
・悩みを相談する機会や窓口
・基本的な情報へアクセスできること

これらは公平性や公正性にも共通することですが、「全員に与えられるべきもの」という観点で例を挙げました。

組織において、社員全員を平等にすることはできません。

しかし、平等でなければいけない部分があるのも事実。

公正性から出発し、公平性や平等性を整えていきましょう。

組織では平等よりも公平・公正が重要

平等は悪いことではありません。しかし、組織においては裏目に出てしまうことがよくあります。

理由は、どうあがいても社員に差が発生するため。

平等にはできない、組織の多様な属性

・職種
・役割、役職
・責任の大小
・経験値
・成果の度合い

これらはすべて、社員の差につながります。スタート地点を揃えるのは良くても、結果まで平等にしてしまうと、かえって不公平とみなされてしまうのです。

具体的には、以下のような例があります。

平等が不公平を招く例

営業と管理部門に同じ評価項目を当てる
⇨どちらかが不利になる

全員に同じ研修を受けさせる
⇨既にできる人は時間が無駄、必要な人には足りない

全員一律の残業ルール
⇨業務繁閑や職種特性を無視して、現場が疲弊する

立場の差異を無視して一律の施策を行うと、「困っている人は置いていかれ、頑張る人は報われない」
という状態が生まれてしまいます。

組織で平等性を保つ点は「機会の平等」にしぼり、あくまで公正性を最優先におきましょう。

組織が公正さを担保すべき点

前半において、組織がまず整備すべきは公正性とお話しました。

では、具体的にどのような観点があれば、公正さを得られるのでしょうか?

主には、以下の3つです。

組織を公正にするための方法

① 透明性のある評価制度
② 評価基準の言語化
③ 属人性の排除

順を追って見ていきましょう!

透明性のある評価制度

評価の公正さには、第一に透明性が必要です。

特に、以下の項目については「必要があれば説明できる」状態にしておかなければいけません。

評価の公正性で明確にすべき観点

・何を評価するのか
・どういう方法で評価するのか
・いつ、どの頻度で評価するのか
・誰が、何を根拠に評価するのか
・評価が何に影響するのか

すべての情報を細かく開示する必要はありませんが、上記の要点は周知しておくべきでしょう。

ここが担保されていないと、社員は自分がどのような基準で評価されているのかわかりません。

「上司の気分や好み次第ではないのか?」と思われてしまうこともあります。

評価基準の言語化

たとえ基準に筋が通っていても、社員に伝えることができなければ公正さを理解してもらえません。

評価基準は経営者を含め、管理職など評価者の誰もが説明できるよう言語化しておきましょう。

たとえば、基準を具体的な行動レベルに落とし込んだ言い回しが以下のようなものです。

【評価基準を言語化する例】
<「主体性」についての言語化>
・期初に自分で課題を言語化し、上司に提案したか
・依頼待ちではなく、手段を2案以上提示したか
・問題が起きた時、原因と対策をセットで報告したか

<「リーダーシップ」についての言語化>
・目標を翻訳し、チームの行動に落としたか
・メンバーの詰まりを早期に検知し、支援したか
・対立が起きた際、合意形成の場を設計したか

こうした言語化を通じ、どのような基準で評価しているのか、部下にはっきりと伝えられるよう整備しておきましょう。

属人性の排除

企業に公正性を与える3つめの要素は、属人性の排除。

もちろん、属人性をゼロにはできませんし、ゼロにする必要もありません。

問題なのは、属人的な部分がブラックボックスになってしまうこと。

よくあるのは「評価が上司の主観だけで決まってしまい、主観の内容がわからない」という状態。

塔筋 大樹

上司との関係性で評価や昇進が決まるのは、不公正の典型例です。

こうした属人性を減らすため、既存の制度や仕組みについての運用方法を具体化しましょう。

既存制度の運用を具体化する観点

・評価面談の質問項目を統一する
・評価コメントを「事実→解釈→期待→次の行動」で書くルールにする
・二次評価(レビュー)で、評価の根拠を相互に突っ込む
・評価会議で、上司の印象語を禁止し、事実に戻す
・同じ職種は、評価の観点を共通化する

基本的なことに思えるかもしれませんが、評価制度が曖昧な企業は実に多く存在します。

ぜひ自社の評価プロセスを見直してみましょう。

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組織が公平さを担保すべき点

企業において、完全な公平は実現できません。

ですが、組織内で「不当な不公平」が目立っていると、全社的に不満が高まり、特に優秀な人の離職につながります。

たとえば、下記のような要点においては、公平さを確保すべきでしょう。

組織において公平性を確保すべき点

① 福利厚生
② 働き方の選択肢
③ 障がいに対する配慮
④ 成果を重視する仕組み
⑤ 成長の機会へ挑戦できる体制

キーワードは「選択肢」。詳しく見ていきましょう。

福利厚生

福利厚生は、厳密に言うと平等性に近いもの。

分かりやすい反面、実態としては「使う余裕がない」など、不満が残りやすい領域でもあります。

実態が分かれやすい福利厚生

・有給休暇
・育児休暇
・産休
・住宅手当
・資格手当

異なる状況にいる社員が、自分に合った制度を自由に活用できるよう整備しなければいけません。

「制度だけ作って終わり」にせず、活用状況なども計測していくことが肝要です。

働き方の選択肢

働き方の制限は、組織の内外に不公平を生じさせ、優秀な人の定着を阻害することがあります。

非常にわかりやすい例は、リモートワークの有無。

弊社にもフルリモートの従業員がいますが、面接時に理由を尋ねたところ、以下のような例がありました。

社員A

親の介護を在宅でしており、家を空けることが難しいため、リモートワークができる貴社の求人を希望いたしました。

これは極端なケースであり、なんでもかんでもリモートワークにすればよいわけではありません。

ですが、人によっては勤務地や勤務時間に見過ごせない制限があるのも事実。

これが原因で優秀な人を雇えなかったり、定着させられないのは非常にもったいないと言えるでしょう。

以下のような条件を定義・整備し、働き方の選択肢を増やせると、採用においても競争力がつきます。

働き方について考えるべき点

・どのような働き方を増やすか
・どのような人が利用できる条件とするか
・利用できる期間は何日か
・成果や報酬をどう測るか
・引き継ぎなどのルール整備

たとえば、スープストックトーキョーなどでは、働き方の見直しにより離職率を下げることができたという事例もあります。

スープストックトーキョーの事例
導入施策時短勤務
複業可能
欠員へのヘルプ専門社員
効果年間離職率が半減
(23%⇨12.8%)
出典元:日本の人事部『休暇と複業の両輪で社員の生活価値を拡充するスープストックトーキョーの働き方“開拓”』(2021)

柔軟な働き方を取り入れ、環境にハンデがある人でも働ける仕組みを作ると、定着率は上がり、結果的に採用コストも抑えられるのです。

障がいに対する配慮

障がいを持つ人が、健常者と同じように働けるよう配慮することを「合理的配慮」と言います。

企業の規模が大きくなるにつれ、障害者雇用も無視できなくなるでしょう。

そのとき、合理的配慮についての知見がないと、企業の悪評にもつながってしまいます。

ポイントは、特別扱いすることではなく、障がいを持つ人でも他の社員と同じ成果を目指せるような環境を整えること。

合理的配慮の手順

(1) 困りごとや必要な配慮について、本人と合意する
(2) どこまでが会社の対応範囲か定める
(3) 配慮の結果、業務量や業務内容について決める

障がいは個人差が激しいもの。対話なしに一律で配慮することはできません。

合理的配慮については、被雇用者自身と話し合いながら決めていくと、本人も他の社員も納得のいく条件を固めやすくなります。

成果を重視する仕組み

利益を生む場所に投資する。企業としては当たり前の行動です。

しかし、成果の指標が「売上の数値」しかないのは問題。

一口に成果と言っても、いろいろな指標を設けることができます。

【「成果」の多様な観点】
結果
売上、粗利、納期、品質など

プロセス
再現性のある行動、標準化、改善

影響
チームへの貢献、育成、仕組み化

その他
MVVに沿った行動など

ひとつの指標だけにこだわらず、さまざまな切り口を作り、表彰する仕組みを運用していくと、組織内の不公平感を緩和できます。

塔筋 大樹

現場の士気を上げることもできますので、ぜひ多様な観点を検討してみましょう!

成長の機会へ挑戦できる体制

すべての人に同じ結果を与えることはできません。

ですが、成長したいと思う人に門戸が開かれていないのは問題です。

成長の機会を公平にする方法

・挑戦の機会(プロジェクト・役割・研修)を周知する
・推薦だけでなく挙手制も取り入れる
・必要なら、選抜基準とプロセスを公開する
・挑戦後のフィードバックを標準化する

このように、挑戦の機会へ公正性と公平性を与え、「挑戦したい人が伸びる環境」を用意すると、若手や優秀な人がより活躍できる組織になります。

組織の平等・公平・公正は、まずは公正さの担保から!

最後に、本記事での要点をおさらいしておきましょう。

本記事の要点

【平等・公平・公正の定義】
・平等=同じ条件を与える(入口や手続きで効く)
・公平=状況に応じて配分を変える(配慮と機会配分で効く)
・公正=基準と手続きが筋が通っている(あらゆる判断の土台)

【組織における平等・公平・公正の優先順位】
1位 公正性
2位 公平性
3位 平等性

【組織を公正にするための方法】
① 透明性のある評価制度
② 評価基準の言語化
③ 属人性の排除

【組織において公平性を確保すべき点】
① 福利厚生
② 働き方の選択肢
③ 障がいに対する配慮
④ 成果を重視する仕組み
⑤ 成長の機会へ挑戦できる体制

なお、迷ったときは、次のステップを踏むのがオススメです。

【迷ったときの施策ステップ】

STEP

評価・配置・昇給の基準を言語化する

STEP

判断の手続きを揃え、説明できる状態にする

STEP

働き方、配慮、挑戦の機会など、公平性を整えていく

弊社では、人事評価がどう機能しているかをチェックできるほか、人事課題についての総合支援を行っております。

組織の平等・公平・公正についてお悩みの場合は、ぜひ弊社にご相談ください!

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