本記事では、職場における信頼関係を強固にするための対話と施策について解説します。
心理的安全性は、メンバーが自由に意見を言える環境を提供し、失敗を恐れずに行動できることを指します。
現代の企業が抱える生産性向上、離職率低下、イノベーションの創出に直結する重要な要素です。

冒頭では、心理的安全性の定義とその重要性、そしてメリットまで。
その次に実際に職場で心理的安全性を高めるための4つの要素について具体的にご紹介します。

職場環境の心理的安全性の高め方、信頼関係を築くための施策になりますので是非注目してください。
また、Googleやメルカリ、LIFULLといった企業や他にも中小企業様での成功事例もございます。

心理的安全性 が向上した職場を実現し、働きやすい環境を作ることを目標にお読みください。

心理的安全性 とは何か

心理的安全性とは、職場やチーム内でメンバーが自身の意見を自由に発言し、挑戦や失敗を恐れずに行動できる環境を指します。

心理的安全性 の定義

心理的安全性は、職場やチームにおけるメンバー間の信頼関係を基盤としています。
この信頼関係により、メンバーは自分の安心感や安全感を感じ、自身の意見やアイデアを自由に共有することができます。
アメリカの心理学者エイミー・エドモンドソン博士によると、心理的安全性は「他者が私たちの行動や発言を批判することなく受け入れてくれる」という期待感を指します。

心理的安全性が高まることで、失敗やリスク・自分への批判を恐れずに新しいアイデアを試すことができる環境になります。
また、心理的安全性の高い職場は、活発なコミュニケーションが生まれることで、
社員同士が助け合う文化を育むことができ、チームのパフォーマンス向上にもつながります。
心理的安全性の確立は、職場環境の改善に大きく寄与する要素です。

心理的安全性の重要性

前文でも感じられると思いますが、心理的安全性は、職場において重要な役割を持ちます。
心理的安全性を高めることで生まれるメリットは下記です。
①メンバーが自由に意見を交換し合うことができるため、コミュニケーションの質が向上します。
②「強くミスを責められる」というリスクが低い為、問題解決や意思決定がスムーズに行われるようになります。
③意見を言い合う文化が生まれることで、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。
④意見が受け入れられることから、職場のエンゲージメントや満足度を高める効果があります。
⑤ストレスが低下しエンゲージメントが高まることで離職率が低下します。

このように安心感のある職場環境が育まれると、社員が長期間にわたり貢献し続けるため、
企業としても安定した人材確保・利益の持続・利益の最大化が可能となります。

心理的安全性 が職場に与えるメリット

前文と重複する部分もありますが、主に影響するメリットは下記となります。
・生産性の向上
・離職率の低下
・エンゲージメントの向上
・新しいアイデアの創出
・DEI(多様性・公正・包摂)推進に大きく寄与します。

生産性向上の要因

心理的安全性の高い職場は、生産性向上に寄与します。
従業員が自由に意見を述べやすい環境では、問題点や改善点が早期に共有され、効率的に解決されるため、仕事の生産性が向上します。
さらに、各自がアイデアを出し合い、協力して取り組むことで、チーム全体のパフォーマンスが高まります。

例えば、Googleのプロジェクト・アリストテレスの調査では、心理的安全性が高いチームは、そうでないチームに比べて業務の達成度が高いことが明らかになりました。
なぜかを分解すると、提案やフィードバックを活発に行っていることが分かり、その結果として生産性が向上していました。
プロジェクト・アリストテレスについて

また、心理的安全性が保障されている場合、従業員は「自己効力感・自己肯定感」を持ちやすくなり、自信を持って仕事に取り組むために、より高い成果を発揮することができます。
従業員が自分の能力を存分に発揮できる環境を提供することが重要です。

離職率低下の効果

従業員が自身の意見を自由に述べることができることで得られるメリットは生産性だけではありません。
失敗や批判を恐れずに行動できる環境は、ストレスや不安を軽減します。
これにより、従業員満足度が向上し、長期的な勤務意欲が高まります。

例えば、リーダーがフィードバックを受け入れ、従業員の意見を尊重する職場では、従業員が自らの価値を感じやすくなります。このような環境では、従業員は仕事に対してポジティブな感情を抱きやすく、離職の意向が低下します。

さらに、心理的安全性が確保されている職場では、従業員同士の信頼関係が強化されます。
助け合いや協力が促進され、チームの一体感が高まることで、職場の魅力が増し、従業員の定着率が向上します。
このように、心理的安全性は「職場の安定性と持続的な発展」に貢献します

エンゲージメントの向上

エンゲージメントとは、従業員が仕事に対して示す熱意や職場への精神面・給与等の内外を問わない満足度のことを指します。
心理的安全性が高い職場では、従業員が自己の意見やアイデアを自由に共有できるため、仕事に対する主体性や責任感が増します。

そして、コミュニケーションが活発化することでチームメンバー間での助け合いが生まれ、相互に励まし合います。
こうしたサポートが得られることで、従業員は職場に対してより愛社精神を持ち、エンゲージメントが向上するのです。
このように、心理的安全性は、従業員の仕事に対する積極的な関与を引き出す重要な要素となります。

新しいアイデアの創出・イノベーション

従業員が自由に意見を述べることができ・コミュニケーションが活発化した環境では、
異なる視点での話し合いが生まれ、独創的なアイデア生まれやすくなるからです。

例えば、あるテクノロジー企業では、心理的安全性を高めるために専用のアイデア共有プラットフォームを導入しました。このプラットフォームを通じて、従業員は自由に意見を投稿し、他のメンバーからのフィードバックを受けることができます。これによって、新しいプロジェクトや製品のアイデアが生まれ、実際に市場に投入された成功例もあります。

このように、心理的安全性が高い職場では、失敗を恐れずに挑戦する文化が生まれます
経営層はこの文化をサポートし、従業員が試行錯誤できる環境を整えることが大切です。
そうすることで、結果として組織全体のイノベーションが活性化します。

DEI推進への寄与

心理的安全性 の高い職場は、DEI(多様性・公正・包摂)の推進にも寄与します。心理的安全性が確保された環境では、従業員が自分自身の意見を自由に表現できるため、多様な価値観やバックグラウンドを持つメンバーが個々の視点を尊重される機会が増えます。

例えば、ある多国籍企業では、定期的なワークショップやトレーニングを通じて、心理的安全性の重要性を従業員に周知しています。この取り組みの結果、多様なメンバーがより積極的に意見を述べるようになり、組織全体のDEIが進展しました。

また、心理的安全性の高い職場では、個々の能力や特性が最大限に発揮されるため、DEIの価値が深まります。リーダーはこの環境を維持するために、オープンなコミュニケーションと公平な評価制度を導入することが求められます。このように、心理的安全性は、DEI推進の重要な要素として機能します。

心理的安全性 の高い職場を作る4つの要素

心理的安全性 を高めるためには、「話しやすさの確保」、「助け合いの文化」、「チャレンジ精神を促進」、「新奇歓迎の姿勢」の4つがポイントです。

話しやすさの確保

職場でのコミュニケーションが円滑に行われるためには、メンバーが自由に意見を述べやすい環境を作ることが重要です。従業員が安心して発言できることは、心理的安全性の基礎となります。

具体的には、ミーティングの際に全員が発言する機会を持つようにする、フラットなコミュニケーションを推奨する、意見を否定せずに聞く姿勢を示すことが求められます。例えば、Googleでは「傾聴」の技術が重視されており、リーダーが部下の意見を引き出すための質問を意識的に行います。このように、話しやすさを確保することが、職場の心理的安全性を高める第一歩となります。

助け合いの文化

職場での助け合いは、チームの一体感を高めるために非常に重要です。同僚同士が互いにサポートし合う環境では、困難な状況に直面しても安心感を持って業務に取り組むことができます。

具体的な方法としては、プロジェクトごとの共同作業やピア学習、定期的なフィードバックセッションなどがあります。LIFULLの例では、各部署間でのクロスファンクショナルなミーティングが行われており、どのメンバーも問題解決に向けた提案やアイデアを自由に出し合っています。このような助け合いの文化が根付くことで、心理的安全性が高まり、職場全体のパフォーマンス向上につながります。

チャレンジ精神を促進

従業員のチャレンジ精神を促進することは、職場の心理的安全性を高めるために重要です。
新しいアイデアや取り組みに対して躊躇せずに挑戦できる環境を整えることで、組織の革新性が向上します。具体的には、失敗を前向きに評価する文化を作ることがポイントです。
例えば、メルカリでは「Fail Fast」という理念のもと、失敗から学ぶことを推奨しています。失敗が糧となり、更なるチャレンジが生まれる環境こそが、心理的安全性の鍵となるのです。

新奇歓迎の姿勢

職場で新しいアイデアや視点を歓迎する姿勢は、心理的安全性を高めるための重要な要素です。多様な意見やアプローチを受け入れることで、組織全体が柔軟でクリエイティブになります。

具体的な方法としては、アイデアを提案する場を設けることや、多様なバックグラウンドを持つ人々を積極的に採用することが挙げられます。例えば、DEI(多様性・公平性・包括性)を推進する企業では、新しい視点が尊重され、革新が促進されます。このような新奇歓迎の姿勢が、職場の心理的安全性を高める要因となり得るのです。

実践的な手法とリーダーシップの役割

心理的安全性を高めるためには、具体的な手法とリーダーシップの役割が不可欠です。
職場の信頼関係を築くためには、透明性の高いコミュニケーションやフィードバック、そしてリーダーの積極的な参加が求められます。

リーダーシップの重要性

リーダーシップは、職場での心理的安全性を高める上で非常に重要な役割を果たします
まず、リーダー自らが安心してコミュニケーションできる環境を提供する必要があります。透明性を持った情報共有、オープンな対話、そしてフィードバックの文化を育むことが大切です。
また、リーダーシップを発揮することで、メンバーは自分の考えを安心して表現できるようになります。

具体的には、リーダー自身が意見を率直に述べることで、メンバーに安心感と信頼を与えます。
そして、メンバーがリーダーと同じように意見を述べることが奨励されることで、チーム全体の心理的安全性が高まります。失敗や挑戦を恐れずに新しいアイデアを試すことができる環境を作り出すことがリーダーの役割です。

弊社ではリーダーシップについての記事、後述の1on1の記事も公表いたしております。
是非ご覧ください。

【 1on1 とは?やりかたは?】事例を失敗例や成功例と共にご紹介!

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オーセンティックリーダーシップのすすめ

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支配ではなく寄り添う―サーバントリーダーシップとは

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心理的安全性を高める具体的なステップ

心理的安全性を高めるための具体的なステップは以下の通りです。まず、リーダーは透明性のあるコミュニケーションを心掛けることが重要です。情報を隠さず、メンバーと共有することで信頼関係が深まります。

次に、フィードバック文化を育むことです。常に建設的なフィードバックを提供し、メンバーが成長できるよう支援します。また、フィードバックを受け入れる姿勢も大切です。

最後に、失敗を恐れない文化を作ることです。失敗は学びの機会であり、挑戦を奨励することで新しいアイデアが生まれやすくなります。これにより、職場全体の心理的安全性が高まり、生産性や創造性が向上します。

チーム文化が 心理的安全性 に与える影響

チーム文化は、心理的安全性に大きな影響を与えます。心理的安全性の高いチーム文化では、メンバーが互いに信頼し支え合うことが重要です。オープンなコミュニケーションが奨励されることで、メンバーは自分の意見を自由に述べることができます。

さらに、失敗が許容される環境であれば、メンバーは新しいアイデアや挑戦をためらうことなく試すことができます。例えば、定期的なチームミーティングやワークショップを通じて、メンバー同士が意見を交換し、互いの理解を深めることが推奨されます。

これにより、チーム全体の連帯感が高まり、心理的安全性が向上します。結果として、チームの生産性や創造性が増し、企業全体のパフォーマンスに良い影響をもたらします。

フィードバックや1on1は心理的安全面でなぜ大事なのか

フィードバックや1on1ミーティングは、心理的安全性を高めるために大変重要です。まず、フィードバックを通じて、メンバーは自分の行動や業績に対する具体的な評価を受けることができます。これにより、自己改善のきっかけとなり、自信を持って業務に取り組むことができるようになります。

さらに、1on1ミーティングは、リーダーとメンバーが直接対話を行う場を提供します。この場では、メンバーが抱える悩みや提案をリーダーに直接伝えることができ、リーダーもまた具体的な対応策を講じることができます。
これにより、メンバーは自分が大切にされていると感じ、職場での安心感が高まります

以上のように、フィードバックや1on1ミーティングは、オープンなコミュニケーションを促進し、心理的安全性の向上に寄与します。

心理的安全性の高い組織づくりに取り組む企業事例

Google Japan:心理的安全性の重要性を社内文化に

導入背景
Googleではプロジェクトチームの生産性を高める研究「Project Aristotle」を通じ、成果を上げるチームの共通点が“心理的安全性”であることを発見しました。

取り組み内容
・定例ミーティングで「安心して意見を言える雰囲気づくり」を徹底
・マネージャーが「発言前の一拍置き」など、沈黙を恐れない文化を促進
・フィードバック研修の中に心理的安全性を扱うプログラムを導入

効果
社内アンケートでは、チームメンバーのエンゲージメントスコアが改善。多様なバックグラウンドの社員の発言機会も増え、イノベーションが促進されました。

メルカリ:心理的安全性を軸にした“信頼文化”

導入背景
急成長による組織拡大で、コミュニケーションの摩擦や分断が発生。これを防ぐため「心理的安全性」を全社テーマとして設定しました。

取り組み内容
・「信頼(Trust)」を企業バリューの一つに設定
・1on1の実施を義務化し、上司と部下の相互理解を深める
・Slackでの「気づき共有」チャンネルなど、フラットに発言できる場を整備

効果
離職率の低下とともに、社員エンゲージメント調査のスコアが向上。リモート環境でも安心して発言・提案できる体制を確立しています。

LIFULL:安心して“違和感”を言える組織へ

導入背景
多様な働き方を推進する中で、チーム間での温度差や意見表明のしにくさが課題に。

取り組み内容
・全社的に「心理的安全性サーベイ」を定期実施
・マネージャー研修で「心理的安全性を高める対話スキル」を学習
・Slack上に匿名で意見を出せる「Voice Box」を導入

効果
上司・部下間の信頼関係が可視化され、意見交換の量が増加。職場での小さな違和感を共有できる風土が定着しています。

株式会社アトラエ(中小〜ベンチャー):「wevox」で心理的安全性を可視化

導入背景
自社開発のエンゲージメントツール「wevox」を活用し、心理的安全性の指標をチーム単位で可視化する文化を構築。

取り組み内容
・各チームがスコアをもとに「対話ミーティング」を開催
・スコアが低下した際は、リーダーが“原因分析+改善アイデア”をチームと共有
・経営陣も透明性を重視し、全社スコアを公開

効果
データをもとにした対話が習慣化し、チームの自律性と関係の質が向上。離職率は低水準で安定しています。

株式会社サイボウズ(中堅企業):“多様性と対話”で安心できる職場を

導入背景
「100人いれば100通りの働き方」を掲げるサイボウズでは、心理的安全性が多様性の基盤と位置づけられています。

取り組み内容
・「チームワーク総研」にて心理的安全性の社内外研修を展開
・「共感を前提に話す」「否定せず質問する」といった対話ルールを導入
・社内SNS「kintone」を活用したフラットな情報共有

効果
社員満足度が高く、女性・育児世代・シニアなど多様な層が活躍。長期的な人材定着にも寄与しています。

まとめ: 心理的安全性 を高めることの重要性

心理的安全性を高めることは、現代の職場において非常に重要視されています。職場の心理的安全性が向上することで、生産性の向上、離職率の低下、エンゲージメントの向上、新しいアイデアの創出という多くのメリットがもたらされます。特に、生産性向上や離職率低下に寄与することは企業の持続可能な成長に欠かせません。また、心理的安全性の高い職場は、従業員が安心して自己表現できる場を提供し、多様性を尊重する文化を育てることができます。これにより、イノベーションの創出やDEI推進が促進され、企業全体のパフォーマンスが向上します。

リーダーシップの役割も重要であり、信頼関係を強める対話や適正なチーム文化が心理的安全性の確保に欠かせません。具体的な手法として、フィードバックや1on1ミーティングが心理的安全性の向上に大きく寄与すると考えられています。実際に、Googleやメルカリ、LIFULLなどの企業が成功事例を通じてその重要性を証明しています。

心理的安全性 を高める取り組みは、企業文化の改善や従業員の満足度向上に貢献します。これにより、職場全体がより活気に満ち、イノベーティブなアイデアが生まれる環境が整います。企業経営者や人事担当者、管理職の皆さんは、心理的安全性の重要性を認識し、積極的に取り組むことが求められます。

心理的安全性を通じた離職率低下の施策はぜひTsumuguへ!

心理的安全性を確保することは離職率低下の第一歩です。
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