エンゲージメントサーベイが意味ないと言われる理由とは?中小企業が陥る失敗と活用方法

エンゲージメントサーベイを導入しても組織が変わらない理由とは?中小企業が活用できない原因

「エンゲージメントサーベイ、去年から導入しているんです」

ここ数年、このような話を聞く機会が本当に増えました。

そこで私は、必ず一つ質問をします。

「その結果、組織は何か変わりましたか?」

すると、多くの場合、少し間が空いてからこんな答えが返ってきます。

「……正直、あまり変わっていないんですよね」

エンゲージメントサーベイは、導入することが目的ではありません。ツールを導入することと、それが組織改善につながることは、まったく別の話です。

近年、従業員エンゲージメントの向上を目的としてサーベイを導入する企業は増えています。しかし、サーベイは実施することが目的ではなく、その結果を組織改善につなげて初めて価値を発揮する仕組みです。

本記事では、エンゲージメントサーベイを導入しても成果につながらない理由をはじめ、中小企業が陥りやすい課題や、組織改善につなげるための活用方法をわかりやすく解説します。

目次

エンゲージメントサーベイが機能していない5つのサイン

エンゲージメントサーベイを定期的に実施していても、それだけで組織改善につながっているとは限りません。

大切なのは「実施しているか」ではなく、サーベイで見つかった課題を実際の改善につなげられているかです。

次のような状態が続いている場合、エンゲージメントサーベイが「調査して終わり」になっている可能性があります。

  • サーベイ結果を経営層や人事だけが確認し、現場のマネージャーに共有していない
  • スコアが低い項目を把握しているものの、具体的な改善策を実行していない
  • 毎回似たような結果が出ており、前回から改善した項目がほとんどない
  • 社員から「またサーベイか」という声が出るなど、サーベイ疲れが起きている
  • サーベイ結果が人事部門だけで保管され、現場で使われていない

特に注意したいのは、社員に回答を求めながら、その後の変化が見えない状態です。

社員は時間を使ってサーベイに回答しています。そこで伝えた意見や不満に対して会社から説明がなく、職場も変わらない状態が続けば、「回答しても意味がない」と感じるようになります。

バヅクリHR研究所が実施したアンケート調査では、エンゲージメントサーベイへの回答経験がある人のうち、約7割が何らかの不満を感じているという結果も出ています(バヅクリHR研究所調査)。

サーベイは社員の声を集めるだけでなく、「集めた声を会社がどう受け止め、何を変えたのか」まで社員に返すことが重要です。

例えば、すぐに解決できない課題であっても、「今回のサーベイでは○○という課題が見つかった」「今期は△△から改善する」と伝えることはできます。すべての要望に応える必要はありませんが、会社が結果を受け止めていることは示す必要があります。

反対に、結果を人事部門の資料として保管するだけでは、サーベイを実施する意味が薄れてしまいます。

エンゲージメントサーベイが機能しているかどうかは、スコアの高さではなく、結果を受けて実際に何かを変えられているかで判断することが大切です。

エンゲージメントサーベイを実施しても組織が変わらない5つの原因

エンゲージメントサーベイを実施しても、組織がすぐに変わるわけではありません。結果を集計しただけで終わってしまい、具体的な改善につながっていない企業もあります。

問題はサーベイそのものではなく、結果を受け取った後に「誰が、何をするのか」が決まっていないことです。

ここでは、エンゲージメントサーベイを実施しても組織改善につながらない主な原因を5つ紹介します。

サーベイの実施自体が目的になっている

よくあるのが、エンゲージメントサーベイを導入したことで満足してしまうケースです。

人事部門は「サーベイを実施した」、経営層は「従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいる」。そこで一区切りついてしまい、結果を受けて何を改善するのかまで決まっていません。

しかし、サーベイは健康診断と同じで、測定しただけでは何も変わりません。問題が見つかったのであれば、その原因を確認し、改善策を実行する必要があります。

サーベイの実施をゴールにするのではなく、「結果をもとに何を変えるのか」まで決めておくことが重要です。

結果を見ても何を改善すればよいかわからない

サーベイ結果は確認しているものの、具体的な改善策に落とし込めないケースもあります。

例えば、エンゲージメントスコアが68点だったとします。この数字だけを見ても、高いのか低いのか、何が問題なのか、どこから手をつければよいのかはわかりません。

そこで必要になるのが、前回調査との比較や部署別の比較、設問ごとの分析です。「上司との関係は良好だが、評価への納得度が低い」「特定の部署だけスコアが下がっている」といったところまで分解すると、改善すべき課題が見えやすくなります。

全体の点数を見るだけではなく、「どこで、何が起きているのか」まで掘り下げることが大切です。

現場のマネージャーが自分ごと化できていない

サーベイ結果を人事部門や経営層だけで確認している企業も少なくありません。

全社平均のスコアだけを共有しても、現場のマネージャーからすると「会社全体の問題」「人事が考えること」になりがちです。しかし、社員のエンゲージメントには、上司との関係や仕事の任せ方、評価、フィードバックなど、日々のマネジメントが大きく関わっています。

例えば、全社平均だけではなく部署・チーム単位で結果を確認すれば、「自分のチームでは評価への納得度が低い」「別の部署と比べて上司とのコミュニケーションに課題がある」といった違いが見えてきます。

組織を変えるには、サーベイ結果を現場のマネージャーまで届け、「自分のチームで何を変えるか」を考えてもらう必要があります。

社員が本音で回答しなくなっている

エンゲージメントサーベイは、社員が率直に回答することを前提とした仕組みです。

ところが、毎回サーベイに回答しているにもかかわらず会社から何の説明もなく、職場も変わらない状態が続けば、「回答しても意味がない」と思われるようになります。

さらに、「低い評価をつけたら誰が回答したかわかるのではないか」「上司に見られるのではないか」と不安を感じれば、無難な回答を選ぶ社員も出てきます。これでは、せっかくサーベイを実施しても実態を正しく把握できません。

社員に本音で回答してもらうためには、匿名性への配慮だけでなく、集めた意見を会社がどう受け止め、何を改善したのかを社員へ返すことも重要です。

改善施策を実行するリソースが足りない

課題がわかっていても、改善に取り組む時間や人手がない企業もあります。特に人事専任者がいない中小企業では、採用、労務、人材育成などを少人数で担当していることも多く、サーベイ結果の分析や改善施策まで手が回らないケースがあります。

ミイダス株式会社が2024年に発表した調査では、サーベイ後にアクションを起こしていない企業が抱える課題として、「アクションを起こすためのリソースが足りない」が38.5%と最も多く挙げられています。

また、サーベイ後にアクションを起こしている企業では76.9%が生産性向上を実感しているのに対し、アクションを起こしていない企業では29%にとどまっています。業績向上についても、アクションを起こした企業が75%、起こしていない企業が35%となっています(ミイダス株式会社「エンゲージメントサーベイに関する実態調査」2024年)。

だからといって、すべての課題を一度に改善する必要はありません。

人手や時間が限られている中小企業ほど、サーベイ結果から優先順位の高い課題を一つに絞り、小さな改善から始めることが大切です。

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エンゲージメントサーベイの失敗事例|「数字が動かされていた」現場

以前、支援先の中小企業でこんなことがありました。

その会社では、年に一度、従業員満足度調査を実施していました。全社平均のスコアを見る限り、毎年「大きな問題はなさそう」という結果が出ていました。

ところが、詳しく話を聞いてみると、その数字は実態をそのまま表したものではありませんでした。

ある部署だけスコアが極端に低く、全社平均を大きく押し下げていたため、集計する際にその部署のデータを「異常値」として除外していたのです。

理由を聞くと「その部署はもともと厳しい環境だから」という説明でした。しかし、本来見るべきなのは、まさにその数字です。

「なぜ、この部署だけスコアが低いのか」。その原因を探るためにサーベイを実施しているはずなのに、問題を示している数字そのものを除外してしまっていました。

例えば、上司との関係に問題があるのかもしれません。業務量が多すぎるのかもしれません。評価に納得できていないのかもしれません。あるいは、その部署だけ人員配置に無理がある可能性もあります。

もちろん、スコアが低いという事実だけで原因を決めつけることはできません。だからこそ、数字を入口にして現場へのヒアリングや自由回答の確認を行い、「なぜ低いのか」を掘り下げる必要があります。

この会社に必要だったのは、全社平均の数字をきれいに見せることではなく、極端に低い数字が出た理由を確認することでした。

エンゲージメントサーベイでは、スコアそのものを良く見せることより、スコアから組織の課題を見つけることのほうが重要です。

サーベイを組織改善に活かしている会社は、低いスコアを「悪い結果」として隠すのではなく、「ここに改善の余地がある」と考えます。数字を評価のためだけに使うのではなく、現場で何が起きているのかを考えるきっかけとして使います。

平均点が高ければ安心、低ければ問題という単純な話ではありません。平均値だけを追いかけると、特定の部署やチームで起きている問題を見落とすこともあります。

サーベイで本当に見るべきなのは「何点だったか」だけではなく、「なぜこの数字になったのか」です。数字を都合よく整えるのではなく、気になる数字ほど掘り下げる。その姿勢がなければ、サーベイを何度実施しても組織改善にはつながりません。

中小企業がエンゲージメントサーベイを活用できない理由

エンゲージメントサーベイの必要性を感じていても、実施や改善まで手が回らない中小企業は少なくありません。

商工組合中央金庫が2023年に中小企業2,513社を対象に行った調査では、エンゲージメントを計測していない企業のうち57.2%が「必要性は感じる」と回答しています(商工組合中央金庫「中小企業の人材確保・育成に関するアンケート調査」2023年)。

必要性は感じているものの、実際の取り組みまで進められない。ここに中小企業ならではの難しさがあります。

人事担当者の時間と人手が足りない

中小企業では、人事担当者が採用、労務、人材育成、評価制度など複数の業務を兼任しているケースが珍しくありません。そもそも専任の人事担当者がいない会社もあります。

同調査でも、取り組めない理由として「時間がない・人手が足りない」が24.6%を占めています。

サーベイは回答を集めれば終わりではありません。結果を集計して課題を見つけ、経営層や現場のマネージャーと改善策を考え、実行後の変化まで確認する必要があります。

通常業務を抱えながら、ここまで継続して取り組むことが難しく、「調査はしたものの、その後は手をつけられていない」という状態になりやすいのです。

スコアを見ても何が問題なのか判断しにくい

もう一つの壁が、サーベイ結果の読み方です。

例えば、エンゲージメントスコアが68点だったとしても、その数字だけでは良いのか悪いのか判断できません。仮に前年より5ポイント下がっていたとしても、何が原因で下がったのかまでは数字だけではわかりません。

そこで重要になるのが比較です。前回の結果と比較する、部署・チームごとに比較する、設問ごとの変化を見るなど、いくつかの角度から確認すると課題を見つけやすくなります。

「全社スコアが何点だったか」よりも、「前回から何が変わったのか」「どの部署の、どの項目に変化があったのか」を見ることが重要です。

社員数が少なく結果を分析しにくい

社員数が少ないことも、中小企業でサーベイを実施する際の難しさです。

例えば、5人の部署で「上司との関係」に関するスコアが低かった場合、回答内容によっては誰が回答したのか推測される可能性があります。社員側が匿名性に不安を感じれば、本音を書きにくくなります。

一方で、匿名性を優先して全社単位でしか集計しなければ、部署ごとの課題が見えにくくなります。社員数が少ない会社ほど、どこまで細かく分析・共有するのか慎重に決める必要があります。

大企業と同じやり方をしようとしている

中小企業がエンゲージメントサーベイを活用するために、大規模な調査や高度な分析が必須というわけではありません。

数十項目の調査を実施し、すべての課題について改善計画を作ろうとすれば、人事担当者にも現場にも大きな負担がかかります。

例えば「今回は評価への納得度を確認する」「今期は1on1の改善に取り組む」と対象を絞るだけでも、サーベイは活用できます。

人手や時間が限られている中小企業ほど、完璧な分析を目指すより「今回の結果から一つだけ変える」と決めることが大切です。

高機能なサーベイツールを導入することが目的ではありません。自社で無理なく続けられる方法で社員の状態を把握し、見つかった課題を一つずつ改善していく。その積み重ねが、エンゲージメントサーベイを組織改善につなげる第一歩になります。

従業員エンゲージメントが低い会社で起こる3つの問題

従業員エンゲージメントの低下は、社員のモチベーションだけの問題ではありません。離職や採用、日々の仕事にも影響し、結果として人材にかかるコストが増える原因になります。

「最近、退職者が増えた」「求人を出しても採用しづらい」「職場に活気がない」と感じている場合、その背景に従業員エンゲージメントの低下が隠れていることもあります。

離職率が高くなる

従業員エンゲージメントが低い状態が続くと、社員が会社にとどまる理由も弱くなります。

すぐに転職活動を始めるとは限りません。しかし、仕事へのやりがいや会社への愛着が薄れていけば、「もっと条件のいい会社があれば転職してもいい」という気持ちは生まれやすくなります。

そこに転職エージェントからの連絡や他社からのスカウト、知人からの誘いなどが重なると、転職を具体的に考えるきっかけになります。

離職を防ぐには、退職の申し出があってから引き留めるのではなく、普段から社員が会社や仕事をどう感じているのかを把握しておくことが大切です。

採用力が低下する

従業員エンゲージメントは、既存社員だけでなく新しい人材の採用にも関係します。

例えば、社員から知人や友人を紹介してもらうリファラル採用です。自分の会社や職場に満足している社員であれば、「一緒に働かない?」と声をかけやすくなります。反対に、会社に不満を抱えている社員が、大切な知人に自社への入社を勧めるとは考えにくいでしょう。

採用サイトや求人広告で会社の魅力を伝えていても、実際に働いている社員が魅力を感じていなければ、採用活動にも限界があります。

採用力を高めるには、求職者への見せ方を変えるだけでなく、既存社員が「人に勧めたい」と思える会社をつくることも重要です。

社員のパフォーマンスが低下する

従業員エンゲージメントが低い職場では、社員が仕事に対して受け身になりやすくなります。

「頑張っても評価されない」「意見を出しても何も変わらない」という状態が続けば、必要最低限の仕事だけをこなすようになり、新しい提案や周囲への協力も生まれにくくなります。

こうした職場の雰囲気は、新しく入社した社員にも伝わります。入社時には意欲が高かった社員でも、周囲が諦めたように働いていれば、「この会社ではそこまで頑張らなくてもいいのかもしれない」と感じる可能性があります。

従業員エンゲージメントの低下を放置すると、一人の問題ではなく、チームや職場全体の仕事の質に影響していきます。

採用がうまくいかないと、求人広告を増やしたり採用手法を見直したりと、どうしても入口の改善に目が向きます。早期離職が続いた場合も、「採用する人を間違えた」と考えてしまいがちです。

しかし、採用や定着の問題を繰り返している場合は、採用活動だけを見直しても解決しないことがあります。既存社員が会社や仕事をどう感じているのかという「組織の土台」まで確認することが大切です。

エンゲージメントサーベイを組織改善につなげる3つの活用方法

エンゲージメントサーベイを組織改善につなげる3つの活用方法

エンゲージメントサーベイを実施した後に重要なのは、結果を見て終わらせず、具体的な改善につなげることです。

実際にサーベイを組織改善に活かしている企業を見ると「分析する」「課題を決める」「改善して効果を確認する」という流れができています。

サーベイで組織を変えるのではなく、サーベイをきっかけに現場の行動を変えることが重要です。

ここでは、エンゲージメントサーベイを組織改善につなげる3つの活用方法を紹介します。

サーベイ結果を部署・チーム単位で分析する

まず、全社平均のスコアを見るだけで終わらせないことです。

例えば、全社のエンゲージメントスコアが70点だったとしても、営業部は80点、開発部は60点かもしれません。全社平均だけを見ていると、こうした部署・チームごとの違いを見落としてしまいます。

部署やチーム単位まで結果を分解すると、「評価への納得度が低い」「上司とのコミュニケーションに課題がある」など、現場ごとの特徴が見えやすくなります。

ただし、スコアをそのままマネージャーへ渡すだけでは十分ではありません。「この項目が前回より下がっている」「他部署と比べて差が大きい」など、どこを見るべきなのかも一緒に伝えることが大切です。

あるクライアント企業では、全社スコアを5部門に分けて各マネージャーへフィードバックしました。それまで全社平均しか見ていなかったマネージャーが、自分のチームの課題を認識したことで、1on1の実施頻度が自発的に増えたケースがあります。

全社平均では「会社の問題」だったものが、部署・チーム単位まで分解することで「自分たちの問題」に変わります。

サーベイ結果から優先して改善する課題を決める

サーベイを実施すると、改善したい項目がいくつも見つかることがあります。しかし、すべてを同時に改善しようとすると、現場の負担が増え、結局どの施策も中途半端になりかねません。

特に人事担当者や管理職のリソースが限られている中小企業では、課題の優先順位を決めることが重要です。

例えば「評価への納得度」「上司とのコミュニケーション」「成長実感」の3項目が低かったとしても、すべてに対して施策を始める必要はありません。

「今期は上司とのコミュニケーションを改善する」と決め、1on1の実施方法を見直す。まずは一つの課題に絞って動いたほうが、現場も取り組みやすくなります。

スコアが低い項目をすべて改善するのではなく「今、一番変えるべきことは何か」を決めることがポイントです。

改善施策を実行して次回のサーベイで効果を検証する

改善施策を実行したら、それで終わりではありません。次回のサーベイでスコアや回答がどう変化したのかを確認します。

例えば「上司とのコミュニケーション」が課題だったため1on1を導入したのであれば、次回のサーベイで関連する項目が改善したかを確認します。変化がなければ、1on1の回数ではなく内容に問題があるなど、次の課題を考える材料になります。

この比較を続けるためには、毎回すべての設問を変更するのではなく、同じ設問を一定数残しておくことも大切です。

また、年1回のサーベイだけでは、施策を実行してから効果を確認するまでに時間が空いてしまいます。必要に応じて、設問数を絞ったパルスサーベイを組み合わせる方法もあります。

例えば、年1回は組織全体を詳しく調査し、その間に月1回や四半期に1回のパルスサーベイを実施すれば、施策後の変化をより短い間隔で確認できます。

「サーベイを実施する→課題を決める→改善する→もう一度測る」という流れを繰り返すことで、サーベイが単なる調査ではなく組織改善の仕組みになります。

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AIを活用したエンゲージメントサーベイの分析・改善

エンゲージメントサーベイでは、回答の集計や分析にAIを活用できるようになっています。特に社員数や設問数が増えるほど、人の手だけですべての回答を確認するのは大変です。

例えば、AIを活用することで、次のような分析を効率化できます。

  • サーベイ結果の自動集計・分析
  • 部署やチームごとのスコア比較
  • 自由回答の分類や要約
  • 回答データの傾向や変化の把握
  • 過去のサーベイ結果との比較

特に活用しやすいのが自由回答の分析です。数百件のコメントを一つずつ確認するのではなく、AIを使って「評価への不満」「上司とのコミュニケーション」「業務量」といったテーマごとに整理すれば、社員がどこに課題を感じているのかを把握しやすくなります。

AIを活用するメリットは、サーベイを実施すること自体ではなく、集めたデータから「どこに問題がありそうか」を見つけるまでの時間を短縮できることです。

ただし、AIで分析すれば自動的にエンゲージメントが改善するわけではありません。

例えば、AIが「営業部では評価への納得度が低下している」と分析しても、それだけでは職場は変わりません。本当に評価制度に問題があるのか、上司からの説明が不足しているのか、目標設定に納得できていないのか。現場の状況を確認したうえで、具体的な改善策を考える必要があります。

また、AIによる分析結果をそのまま正解として扱わないことも大切です。サーベイの回答だけでは把握できない事情もあるため、必要に応じて1on1やヒアリングなどを組み合わせて原因を確認します。

AIは「何が起きているのか」を見つける作業には役立ちますが、「なぜ起きているのか」を確認し、「何を変えるのか」を決めるのは人の役割です。

そのため、AIやサーベイツールを導入する前に、結果を誰が確認するのか、課題が見つかったら誰が改善策を決めるのか、いつ効果を検証するのかまで決めておく必要があります。

高機能なツールを導入することよりも、サーベイ結果を次のアクションにつなげる仕組みを作ることが、エンゲージメント改善では重要です。

関連記事:人事評価制度が機能しない理由とは?中小企業で形骸化する原因と改善方法

エンゲージメントサーベイに関するよくある質問

エンゲージメントサーベイを導入・運用する際によくある疑問について回答します。

エンゲージメントサーベイは意味がないのでしょうか?

エンゲージメントサーベイは、実施するだけでは組織改善につながりません。

サーベイは組織の状態や従業員が感じている課題を可視化するための手段です。結果を集計して終わりにすると、「毎回回答しているのに何も変わらない」と従業員が感じ、かえって会社への不信感につながる可能性があります。

重要なのは、スコアの高低だけを見るのではなく、結果から課題を特定し、改善施策を実行することです。「測る→課題を決める→改善する→再び測る」というサイクルまで設計して、初めてエンゲージメントサーベイを実施する意味が生まれます。

エンゲージメントサーベイはどのくらいの頻度で実施すべきですか?

実施頻度に絶対的な正解はありません。会社の規模や目的、設問数などによって適切な頻度は異なります。

例えば、組織全体の状態を詳しく把握するサーベイは半年~1年に1回、少ない設問で変化を確認するパルスサーベイは月1回~四半期に1回など、目的に応じて使い分ける方法があります。

頻度を増やしすぎると「サーベイ疲れ」を招くため注意が必要です。重要なのは実施回数を増やすことではなく、前回の結果を受けて改善施策を実行し、その変化を次回のサーベイで確認できる頻度に設定することです。

エンゲージメントサーベイの結果は社員に公開すべきですか?

すべてのデータをそのまま公開する必要はありませんが、結果の概要や今後の対応方針は社員へ共有することをおすすめします。

社員からすると、自分たちが回答した内容がどう受け止められ、会社が何を変えようとしているのかは重要な情報です。何もフィードバックがなければ、「回答しても意味がない」と感じる原因になります。

一方で、少人数の部署・チーム別データなどを公開すると、回答者が推測される可能性があります。匿名性に配慮しながら、「どのような課題が見つかったのか」「会社として何に取り組むのか」を共有するとよいでしょう。

エンゲージメントサーベイのスコアが低い場合はどうすればいいですか?

スコアが低かったからといって、すぐに数値そのものを上げようとする必要はありません。

まず確認したいのは、「なぜその項目のスコアが低いのか」です。前回との比較、部署・チーム間の比較、自由回答、現場へのヒアリングなどを通じて原因を探ります。

また、すべての低スコア項目を一度に改善しようとすると、施策が分散して何も変わらないことがあります。優先順位の高い課題を1つに絞り、具体的な改善施策を実行してから次回のサーベイで変化を確認することが大切です。

中小企業でもエンゲージメントサーベイは必要ですか?

中小企業でも、社員の状態や組織課題を客観的に把握する方法の一つとしてエンゲージメントサーベイは活用できます。

特に中小企業では、経営者や管理職と社員の距離が近いため、「社員の状況は普段から把握できている」と考えがちです。しかし、上司には直接伝えにくい不満や、経営層からは見えにくい部署ごとの課題が隠れていることもあります。

ただし、大企業と同じような大規模なサーベイを導入する必要はありません。設問数を絞った簡易的な調査から始める方法もあります。 大切なのは高機能なツールを導入することではなく、集めた社員の声を実際の組織改善につなげられる仕組みを作ることです。

まとめ

エンゲージメントサーベイは、組織の状態を数値で把握できる有効な手法ですが、実施するだけで組織が変わるわけではありません。

重要なのは、サーベイ結果を分析し、現場のマネージャーへ共有し、具体的な改善アクションにつなげることです。小さな改善を積み重ね、その変化を次回のサーベイで確認するサイクルを回すことで、組織は少しずつ変わっていきます。

株式会社Tsumuguでは、採用・定着・組織コンディションを見える化できる「ツムイトHR」を提供しています。エンゲージメントサーベイの結果を組織改善へ活かしたい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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ABOUT US
塔筋大樹株式会社Tsumugu代表取締役
同志社大学卒業後、地元金融機関へ新卒入社。その後、株式会社リクルートジョブズ(現リクルート)へ中途入社。求人広告営業として全国トップクラスの営業成績を収め、営業リーダーや代理店支援を担当。その後、Indeed特別認定パートナーの株式会社アド・イーグル執行役員として営業・人事・企画領域を管掌。現在は株式会社Tsumugu代表取締役として、中小企業の採用・育成・評価・定着に関する課題に対し、データとAIを活用した人事支援を行っている。