Z世代が重視するタイムパフォーマンスとは?タイパの意味・具体例と職場での向き合い方

Z世代が重視するタイムパフォーマンスとは?タイパの意味・具体例と職場での向き合い方

「最近の若手社員は、仕事の意味や目的を細かく確認することが多い」
「効率の悪い作業や長い会議を嫌う傾向がある」
「Z世代とどのようにコミュニケーションを取ればよいのか分からない」

このような変化を、職場で感じている人事担当者や管理職の方も多いのではないでしょうか。

若手社員のこうした姿勢を、「我慢が足りない」「面倒な仕事を避けている」と捉えてしまうケースもあります。しかし、その背景には、限られた時間からできるだけ大きな成果や価値を得ようとする「タイムパフォーマンス」の考え方があります。

タイムパフォーマンスを重視する意識は、動画や買い物といった日常生活だけでなく、就職活動や仕事の進め方、キャリア形成にも広がっています。そのため、企業側も従来の指示や育成方法をそのまま続けるのではなく、仕事の目的や期待する成果を分かりやすく伝えることが求められます。

一方で、タイパ重視の考え方は、企業にとって決してマイナスなものではありません。若手社員の視点を取り入れることで、不要な会議や慣習的な業務を見直し、組織全体の生産性を高められる可能性があります。

本記事では、タイムパフォーマンスが注目されるようになった背景や具体例、タイパを重視する人の特徴を解説します。あわせて、採用や人材育成、マネジメントにおいて、企業がZ世代とどのように向き合えばよいのかを紹介します。

タイムパフォーマンスとは

タイムパフォーマンスとは、費やした時間に対して、どれだけ大きな効果や満足感を得られたかを表す考え方です。「タイパ」と略され、金額に対する価値を示す「コストパフォーマンス(コスパ)」の時間版として使われています。

たとえば、同じ情報を得る場合でも、1時間の動画を最初から最後まで視聴するより、要点をまとめた短い動画で必要な情報を得られれば、タイムパフォーマンスが高いと評価されます。

ビジネスにおいても同様です。長時間の会議を行わなくても短時間で意思決定ができる、何度も商談を重ねずに受注につなげられる、単純作業をツールで自動化できるといった状態は、タイムパフォーマンスの高い働き方といえるでしょう。

ただし、タイムパフォーマンスは、単なる「時短」や「スピード」と同じ意味ではありません。

どれだけ短時間で終わっても、必要な情報が得られなかったり、仕事の質が低下したりすれば、タイムパフォーマンスが高いとはいえません。重要なのは、時間の短さだけではなく、かけた時間に見合う成果や満足感を得られたかどうかです。

また、タイパは「効率」や「生産性」と近い言葉ですが、仕事上の成果だけでなく、本人が感じる充実感や納得感まで含まれる点に特徴があります。

これまでも企業では、業務効率化や生産性向上が重視されてきました。しかし近年は、デジタル技術の進化や働き方の多様化を背景に、仕事や日常生活のあらゆる場面でタイムパフォーマンスが意識されるようになっています。

タイムパフォーマンスが注目されるようになった背景

タイムパフォーマンス(タイパ)が広く意識されるようになった背景には、デジタル技術の進化や働き方の変化、そしてZ世代の価値観の変化があります。それぞれの背景を見ていきましょう。

デジタル技術の進化

インターネットやスマートフォンの普及により、私たちは膨大な情報へ瞬時にアクセスできるようになりました。一方で、1日が24時間であることは変わりません。

情報量が増え続ける中では、短時間で必要な情報へたどり着くことが重要になります。その結果、検索エンジンやSNS、生成AIなどを活用し、効率よく情報収集を行うスタイルが一般的になりました。

また、TikTokやYouTube Shorts、Instagramのリール動画のように、短時間で要点を把握できるコンテンツが人気を集めていることも、タイパを重視する価値観が広がった背景の一つといえます。

働き方や価値観の変化

リモートワークやオンライン会議の普及によって、移動時間や業務の進め方を見直す企業が増えました。人手不足が続く中では、限られた人員で成果を上げるため、生産性の向上は多くの企業に共通する課題となっています。

一方で、働く人の価値観も変化しています。仕事だけでなく、学びや趣味、家族との時間を大切にしたいと考える人が増え、限られた時間を有効に使いたいという意識が高まっています。

こうした企業側と働く側の双方の変化が、タイパを重視する考え方を後押ししています。

Z世代を中心に広がった価値観

タイパという言葉が広く浸透した背景には、Z世代の存在も大きく関係しています。

Z世代は、スマートフォンやSNSが当たり前にある環境で育った「デジタルネイティブ世代」です。膨大な情報の中から必要な情報を選び、自分にとって価値のあるものを効率よく取り入れることに慣れています。

そのため「どれだけ時間をかけたか」ではなく「時間をかけた結果、どれだけ価値を得られたか」を重視する傾向があります。この考え方は、動画の視聴方法や買い物だけでなく、就職活動や働き方にも表れています。

実際に、株式会社学情が2024年卒業予定の学生を対象に実施した調査では、55.7%が「タイムパフォーマンスを意識している」と回答しています。

調査では「アプリを活用して効率よく情報収集する」「質の高い情報を得るため、自分で確かめることを大切にしている」といった回答が見られました。

また「話を聞きたい企業が3社以上出展しているイベントだけ参加する」といった声もあり、時間そのものではなく、時間に対してどれだけ価値を得られるかを重視していることがうかがえます。

タイムパフォーマンスの例

動画コンテンツの倍速視聴、切り抜き動画・ショート動画の視聴

近年ではスマートフォンの普及によって、動画投稿サイト、SNSへのアクセスも手軽になり、移動時間や信号待ちの時間など、少ない時間でもコンテンツ消費が可能になりました。

特に「Z世代は動画コンテンツを倍速で視聴することを好む傾向がある」といわれています。Youtubeでは長時間コンテンツの一部だけを抽出した「切り抜き動画」や、前後を省略した見どころだけの「ショート動画」も高い人気があります。

tiktokやInstagramのリールなども同じです。 こうした短い時間で消費できるコンテンツの人気が高まったのも「より効率的に情報収集をしたい」というユーザ側の需要があると考えられます。

冷凍食品や完全栄養食

食材の買い出しや調理にかかる時間を省くために、冷凍食品を利用する人は結構多いですよね。しかし手軽さに甘えて栄養バランスが疎かになってしまうこともよくあると思います。

しかし今では各種栄養素のバランスまで考えた「完全栄養食」と呼ばれる料理やお弁当などが作られていおり、それらが定期的に届く宅配サービスもあります。 こうした商品、サービスの利用は「タイムパフォーマンスの高い食事方法」といえるでしょう。

働き方・採用活動のオンライン化

ビジネスシーンにおけるタイムパフォーマンスでは、働き方や採用活動のオンライン化が大きなところでしょう。

リモートワークやオンライン会議は、移動の時間、情報を探す手間、連絡の手間などを削減できます。

例えば、採用サイトに動画コンテンツを掲載し、OBとオンライン対話できる機会を設ければ、就活生は会社訪問の時間を削減することが可能です。地方に住んでいる就活生でも、東京に本社を構える企業の選考に気軽に参加できるようになります。

タイムパフォーマンスを意識する人の特徴

タイムパフォーマンスを重視する人が増えた背景には、デジタル技術の進化や働き方の変化があります。短時間で多くの情報を得られるサービスが普及したことで「時間を有効に使いたい」という意識は、世代を問わず広がっています。

確かにZ世代はタイパを重視する傾向があるといわれますが、タイパを意識するのは若い世代だけではありません。仕事や家事、育児に追われる人や、限られた時間を有効活用したいと考える人であれば、誰もがタイパを意識する場面があります。

タイパを重視する人は、大きく次の2つのタイプに分けられます。

① 時短型

時短型は、日々の仕事や家事、育児などで時間に追われている人に多く見られます。限られた時間の中で成果を出すため、業務の効率化や自動化を積極的に取り入れ、無駄な作業を減らそうと考えるタイプです。

例えば、オンライン会議を活用して移動時間を減らしたり、生成AIや業務ツールを使って資料作成を効率化したりする行動も、タイパを意識した取り組みといえるでしょう。

② 充実型

もう一つは、限られた時間の中でより多くの体験や情報を得たいと考えるタイプです。動画を倍速で視聴したり、要点をまとめたショート動画を利用したりする行動は、その代表例といえます。

時間に追われているというより「同じ時間でも、より多くの価値を得たい」という考え方が根底にあります。この傾向はデジタルネイティブ世代に比較的多く見られますが、年代に関係なく広がっています。

このように、タイパを重視する理由は人によって異なります。しかし共通しているのは「時間を無駄にしたくない」という価値観です。企業が働きやすい環境を整えるためには、こうした考え方を理解したうえで、業務の進め方やコミュニケーションを見直していくことが重要です。

タイパを重視するZ世代との向き合い方

Z世代の大きな違いは、これまでの「時間効率を重視せざるを得ない」という必要に応じて辿り着いたタイパではなく、身を置く環境による「基準化された」タイパであるという点です。

仕事の指示を出して「それって何の意味があるのですか?」というような質問をされたことがある人、もしかしたらこの中にもいるのではないでしょうか。

意味のない作業を嫌う、意味を説明しないと動けない人々は多くなっています。

もちろん意味のない仕事をやりたいと思う人は少ないでしょう。

ただ、指示を受けた以上「こういった意図ではないか」、「仕事だから」、といったように、自身の中で意味や背景を考え行動に移したり、業務と割り切って与えられた指示を遂行する人がきっと多いはずです。

これがいいか悪いか、正直なところ賛否が分かれると思いますが、この時代の移り変わりの中でZ世代は特に無駄を嫌い、失敗を恐れる傾向が強くなってきているため、「なぜそれをやるのか」「やることで何に繋がるのか」といった説明をしっかりする必要があります。

逆に言えばこの世代は、自身の得られるものがある、無駄ではない、と理解があれば、他の世代より積極的に行動を起こしてくれる可能性も大きいです。 意図や背景の説明は、本来あるべき指示の仕方ではありますが、Z世代とのコミュニケーションでは特に意識して行うと良いかもしれません。

まとめ

タイムパフォーマンス(タイパ)は「短時間で終わらせること」ではなく、時間に対してどれだけ価値や成果を得られるかを重視する考え方です。

特にデジタルネイティブであるZ世代は、この価値観を当たり前のものとして育ってきたため、仕事においても目的や成長実感を重視する傾向があります。

そのため企業には「効率を求める若手」と捉えるのではなく、仕事の目的や期待する成果を丁寧に伝え、納得感を持って取り組める環境を整えることが求められます。また、不要な会議や慣習的な業務を見直し、本当に時間をかけるべき仕事へ集中できる組織づくりも重要です。

もちろん、すべてを効率だけで判断すべきではありません。経験を積む過程や人との対話、失敗から学ぶ時間など、あえて時間をかけることで得られる価値も数多くあります。企業は「効率化すべき業務」と「時間をかけるべき業務」を見極めながら、人材育成を進めていく必要があります。

タイパという価値観を理解することは、Z世代への対応だけが目的ではありません。世代を問わず働きやすい環境を整え、生産性を高める組織づくりにもつながります。

これからの採用や人材育成では、従来の考え方に固執するのではなく、多様な価値観を受け入れながら、社員一人ひとりが成果を発揮できる職場づくりを目指していきましょう。

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ABOUT US
塔筋大樹株式会社Tsumugu代表取締役
同志社大学卒業後、地元金融機関へ新卒入社。その後、株式会社リクルートジョブズ(現リクルート)へ中途入社。求人広告営業として全国トップクラスの営業成績を収め、営業リーダーや代理店支援を担当。その後、Indeed特別認定パートナーの株式会社アド・イーグル執行役員として営業・人事・企画領域を管掌。現在は株式会社Tsumugu代表取締役として、中小企業の採用・育成・評価・定着に関する課題に対し、データとAIを活用した人事支援を行っている。