「求人サイトに掲載しても応募が集まらない」
「説明会を開催しても参加者が少ない」
「自社に合う学生や求職者となかなか出会えない」
このような採用課題を抱える企業は年々増えています。
少子高齢化による人材不足や売り手市場の加速、SNSの普及による情報収集行動の変化などにより、従来の採用手法だけでは十分な母集団形成が難しい時代になりました。
現在の採用活動では、単に応募者を増やすことではなく「自社が求める人物像に合った人材を、効率よく集めること」が重要です。そのためには、採用ターゲットを明確にしたうえで、採用プロモーションや採用チャネルを戦略的に活用する必要があります。
本記事では、母集団形成とは何かという基本から、現在の採用市場で母集団形成が難しくなっている理由、採用プロモーションの考え方、PULL型・PUSH型それぞれの特徴まで分かりやすく解説します。
母集団形成とは
「母集団形成」という言葉を初めて耳にした方もいるかもしれません。
母集団形成とは、企業が求める人材を採用するために、応募者(候補者)を集める活動全般を指します。
単に応募者を増やすことが目的ではありません。自社が求める人物像に合った人材を、効率よく集めることが母集団形成の本来の目的です。
母集団形成の意味
母集団形成とは、企業が採用ターゲットに合った応募者を集めるための採用活動です。
下図のように、採用ターゲットを設定し、そのターゲットへ適切な採用手法でアプローチすることが、質の高い母集団形成につながります。

母集団形成で重要なのは「量」ではなく「質」
母集団形成で最も重要なのは、応募者数を増やすことではなく、自社にマッチする人材を集めることです。
実際、お客様から「まずは応募をたくさん集めて、その中から選べばいい」というご相談を受けることがあります。しかし、この考え方は一見効率的に思えて、実は非常に非効率です。
例えば、100名の応募者の中から1名を採用するケースと、採用ターゲットを明確にした20名の応募者の中から1名を採用するケースでは、どちらが効率的でしょうか。
「応募者が多い方が優秀な人材に出会えるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、応募者が増えれば、その分だけ書類選考や面接、日程調整などの工数も増えます。さらに、採用できたとしても、自社とのミスマッチによって辞退や早期離職につながるリスクも高くなります。
応募数だけを追い求める採用は、時間的にも経済的にも大きなコストがかかってしまうのです。
一方で、採用ターゲットを明確にしたうえで質の高い母集団を形成できれば、選考にかかる負担を減らしながら、自社に合った人材を採用できる可能性が高まります。
つまり、母集団形成では「どれだけ集めたか」ではなく、「どのような人材を集められたか」が成功のポイントなのです。
母集団形成が難しくなっている理由
しかし、重要なのはこの先です。
最も重要なのは「どうやってそのターゲットを集めるのか?(母集団形成を行うのか?)」ということです。
冒頭で例に挙げた、大手の求人サイトに掲載するという一昔前には当たり前だった手法は、今や過去のものとなっています。今の採用市場においてその手法では通用しないほど難しくなっています。 ではなぜ母集団形成が難しくなっているのでしょうか。以下に2つ要因をあげさせていただきます。
同一ターゲットを複数の企業が狙っている
総務省の「情報通信白書令和4年版」によると、日本の生産年齢人口は1999年をピークに減少し続けており、2050年には5,275万人まで減少すると予測されています。生産年齢人口が減少している現在、採用市場は完全に売り手市場であり、企業が人材を獲得すること自体がそもそも非常に難しくなっております。
だからといって、「誰でもいいから採用しよう」と考える企業様はどれくらいあるのでしょうか。
きっと、多くの企業様は「一定のスキルや経験、専門性を持つ人材が欲しい」と考えるはずです。
今だと、AIに関するスキルを持った人材、SNSマーケティングに精通している人材、グローバル人材などでしょうか。こんな人材がいたら欲しいと思うのは当然です。しかし、このような人材は大変希少ですので、基本は引く手あまた。一人の求職者に対して複数の企業がアプローチをかけることになります。
そうなると必然的に企業は求職者に選ばれる立場になるのです。まさにコンペ状態です。
コンペでは自社を魅力的に感じ興味を持ってもらう必要があり、これが非常に難しい部分となります。 (名の知れた大手企業でない限り、かなり難しいのが現状となります。)
SNS普及による情報源の多様化
就活においても、今やSNSで企業の情報収集をするのが当たり前となっているのです。
かつては大手求人サイトに掲載することで認知を獲得できていたものが、現在はSNSで認知を獲得し始めて興味を持たれるというように、母集団形成のフローがオンライン化の加速によりここ数年で一気に変化しました。

SNSとひとくくりにいっても種類は様々。インスタグラムやYoutubeのような日常で利用されるSNSから、ウォンテッドリー様やワンキャリア様のようなキャリアに特化したSNS・コミュニティが数多く存在しています。
そしてさらに、分かりやすく感じていただけるように、現代の若者が応募に至るまでのインサイトの一例を紹介します。
一般的な流れとして、ざっくりと以下のようなステップとなります。
- 休日インスタグラムを眺めていたら、ふとある会社の宣伝動画が流れてくる。(認知)
- なんとなく自分が将来やりたい仕事と共通していそう、あるいはこんな会社あるんだと気になる。(興味)
- 会社をもう少し知りたいと思いwebなどで検索すると、ウォンテッドリーに記事が出ているのを発見。そこで会社のビジョン・ミッションや社員の雰囲気を知り、自分の就活の軸と一致していることに気付く。(共感)
- さらに知りたいと思い求人サイトで検索すると会社の求人を発見。説明会に参加する。SNSで見ていた通り、社員の雰囲気もよく、ビジョンにも共感できた。「この会社受けてみたい」と感じ、応募する。(応募)
今の若者が一つの会社に興味を持ち応募するまでには、無数のツールと選択肢が存在していることがお判りいただけましたでしょうか?
現代における母集団形成はこのいくつものハードルを超える必要があるのです。 そのためには、従来の採用手法から脱却し、新しい方法を柔軟に取り入れていくことが重要となります。
母集団形成を成功させる採用プロモーションとは
さて、前章まででお伝えした内容から、母集団形成の難しさを感じていただけたかと思います。
若者が企業の情報収集に利用できるツールは非常に多様化しており、企業はその変化に合わせた情報発信を行いながら戦略的に母集団を形成していかなければなりません。
このように戦略的に母集団形成を行う手法を「採用プロモーション」と言います。
企業が学生に選ばれる側になった今、採用プロモーションは非常に重要な位置づけとなっています。
ターゲットに対して、的確に知ってほしい情報を伝え会社のことを魅力的に感じてもらわなければなりません。
あなたならどのような伝え方をかんがえますか?求人サイトでの掲載、説明会、ダイレクトリクルーティングなどが一般的ですね。もちろんこれらは今でもほとんどの企業が行っている手法です。
しかし、今の若者は選択肢をたくさん持っています。その中で採用プロモーションを成功させるのが非常に困難であることは想像にたやすいと思います。 では、どんな採用プロモーションを行っていけばよいのか。この章では採用プロモーションをさらに「PULL型」と「PUSH型」の2つの手法に分けてご紹介していきます。
PULL型のアプローチ
PULL型プロモーションはオーディション型とも言われ、採用広告や合同説明会などのメディアを利用して
できるだけ多くの学生に対して情報発信するアプローチ方法となります。
いわゆる一般的な採用形態です。私の就活時代も、私含め周りみんな就活が解禁になったタイミングで真っ先にリクナビやマイナビに登録し、合同説明会に参加するというのが通常の流れでした。
PULL型採用のメリット
このPULL型プロモーションのメリットとしては、アプローチできる人数が多いということが挙げられます。
一気に多くの候補者にリーチできるので、うまくいけば数十~数百の応募を集めることも可能です。
また、多くの企業の中で興味を持っているという点で、一定志望度が高い候補者を集めることができるので、辞退率が低くなる傾向にあることもメリットです。
求人作成や管理・説明会準備などは大変ですが、それを超えれば効率的に母集団形成ができる手法といえます。
PULL型採用のデメリット
一方デメリットも存在します。それは自社に興味を持っていない候補者を集めることができない、ということです。なんだか先ほどお伝えしたメリットの逆説的な感じですね。
そもそも説明会に来るのは興味のある人だけです。私も就活時代、興味のない会社の説明会に行ったことは一度もありませんでした。
これは企業・学生双方にとって、非常にもったいないことだと私は思います。
PULL型プロモーションは受け身の手法でもあり、「興味のある人だけ来てね」というアプローチ方法です。その結果、本来は会社とマッチするはずだった人材を取りこぼしてしまっている可能性があるのです。
学生にとっても、興味が現状ないもしくは企業のことを知らなかったというだけで、実はその人にとって相性のいい会社かもしれませんよね。
| 手法 |
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|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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PULL型採用が向いている企業
ではこのPULL型プロモーションが適しているのはどのような企業でしょうか。それは、自社の採用ターゲットから見て競合より自社が魅力的かどうかによります。先ほどお伝えしたようにPULL型プロモーションは受け身の形で、興味を持っている人を集めるものです。
採用ターゲットが競合と比較しても自社を選ぶであろうと思われるような、知名度・給与・福利厚生・社内の雰囲気などがあればこのプロモーション形態は有効でしょう。
「そんなの大企業しか当てはまらない」と思われる方が多いと思います。現実はそれがほとんど正解です。
もちろん非常に魅力的で、知る人ぞ知るようなベンチャー企業が選ばれることもありますが、だいたいはその企業も母集団形成のために様々な研究を行い、試行錯誤されています。では、今後どうすればいいのか。次にご紹介するPUSH型プロモーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。
PUSH型採用とは
PUSH型プロモーションはスカウト型とも呼ばれ、ターゲットを特定し企業側からアプローチをかける手法です。OB・OG訪問やリクルーター制度、リファラル採用などが当てはまります。
先ほどのPULL型とは打って変わって攻めのアプローチと言えます。
PUSH型採用のメリット
このPUSH型の1番のメリットとしては、自社の採用ブランドに依存せず人材を獲得できる可能性があるということです。
私も就活時にリクルーターの方がとても良い方で企業のイメージがいい意味で変わったという経験があります。最終的には別の会社を選んでしまいましたが、自分の中の志望度が上がったのは確実です。
では、なぜ私の中で志望度が上がったのかというと、その企業のブランドや給与などではなく、リクルーターから感じる仕事への熱意や、仕事のやりがい、社内の雰囲気などを実感出来たからだと思います。求人広告では伝わりきらない「素」の部分を感じることができたのが大きいと思っています。
どうでしょう、これなら企業規模にとらわれず候補者に選ばれる可能性が出てきそうではないでしょうか。
PUSH型採用のデメリット
一方、デメリットも存在します。それは候補者の志望度は低く辞退率が高いということです。
これはまさに今の私の体験談にも出てきましたが、元から強い興味を持っていたわけではなかったので、どうしても志望度を上げきることができませんでした。
辞退率を下げるには強い動機付けや細やかなサポートが必要になります。しかしこれは時間も手間もかかってしまうので、なかなか大変です。 PUSH型は泥臭く地道にアプローチを続けていかなければならない手法なのです。
| 手法 |
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|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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PUSH型採用が向いている企業
以上がPULL型とPUSH型の解説でした。
重要なのは、このどちらが良い悪いということではなく、それぞれを自社の状況や採用ターゲットによって使い分けるべきだということです。
たとえば、ある世界的に有名なIT企業はもともと新卒採用をPULL型で、中途採用を人材紹介を利用していました。しかし人材獲得が激化している背景から、中途採用をすべてPUSH型に移行しました。
リファラル採用をメインで行い年1000人と面談を行っています。 このように自社の採用状況を客観的に見極め、取り入れる手法を柔軟に切り替えることでそれぞれの手法の強みを活かすことができます。
まとめ
ここまで、母集団形成が難しくなっている背景と、採用プロモーションの考え方、PULL型・PUSH型それぞれの特徴について解説しました。
現在の採用市場では「求人を掲載すれば応募が集まる」という時代ではありません。求職者が企業を知るきっかけは求人サイトだけでなく、SNSや口コミサイト、採用オウンドメディア、社員の発信など多様化しています。そのため、企業側も採用ターゲットに合わせて情報発信の方法を見直す必要があります。
また、重要なのは応募数を増やすことではなく、自社と価値観やビジョンが合う人材を集めることです。そのためには、PULL型・PUSH型のどちらか一方に偏るのではなく、自社の採用ターゲットや採用ブランド、採用課題に応じて最適な手法を組み合わせることが重要になります。
採用市場は今後も変化を続けます。しかし「誰を採用したいのか」を明確にし、その人に届く採用プロモーションを継続していくことができれば、企業規模に関係なく採用競争力を高めることは十分可能です。
まずは、自社の採用ターゲットと現在の母集団形成の方法を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。




















