「求める人材から応募が来ない」「入社後に仕事内容の認識がずれてしまう」といった採用課題は、募集時に職務内容や求める役割を十分に伝えられていないことが原因かもしれません。
そこで活用したいのが、職務内容や責任の範囲、必要なスキルなどを明文化するジョブディスクリプション(職務記述書)です。採用するポジションの役割を具体的に示すことで、求職者が入社後の仕事をイメージしやすくなり、応募段階や選考時のミスマッチを防ぎやすくなります。
ジョブディスクリプションは、採用活動だけでなく、人事評価や配置、キャリア形成にも活用できます。ただし、職務内容を細かく定めすぎると、組織変更や業務の変化に対応しにくくなるため、作成後も定期的な見直しが必要です。
この記事では、ジョブディスクリプションの意味や導入するメリット・デメリット、作成手順、記載すべき項目、テンプレートの考え方をわかりやすく解説します。
ジョブディスクリプションとは?
ジョブディスクリプションとは、従業員が担う職務内容や責任、必要なスキルなどを明文化した文書です。日本語では「職務記述書」と呼ばれ、採用活動や人事評価、人材配置などに活用されます。
求人票が給与や勤務地、勤務時間といった募集条件を伝えるものであるのに対し、ジョブディスクリプションは、そのポジションで何を担当し、どのような成果を期待されるのかを具体的に示すものです。
主な記載項目には、次のようなものがあります。
- 職務名・役職
- 職務の目的やミッション
- 具体的な業務内容
- 求められる知識・スキル・経験
- 責任と権限の範囲
- 社内での報告先や連携部門
- 評価基準や期待する成果
これらを明確にすることで、企業は求める人材像を整理しやすくなり、求職者も入社後の仕事内容を具体的にイメージできます。その結果、応募段階や入社後の認識のずれを防ぎ、採用のミスマッチを減らすことにつながります。
また、ジョブディスクリプションは採用時だけでなく、社員の人事評価や目標設定にも活用できます。担当する職務や期待される成果が明確になるため、上司の主観だけに頼らない評価を行いやすくなります。
ジョブディスクリプションが注目される背景
ジョブディスクリプションが注目される背景には、ジョブ型雇用の広がりや働き方の多様化があります。
従来の日本企業では、職務を細かく限定せず、入社後に配置転換や業務変更を行う「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。しかし近年は、専門的なスキルを持つ人材を採用し、特定の職務で能力を発揮してもらう必要性が高まっています。
そのため、採用前の段階で職務内容や求めるスキル、責任の範囲を明確にするジョブディスクリプションが重視されるようになりました。
ジョブ型雇用の広がり
ジョブ型雇用とは、あらかじめ職務内容や責任、必要なスキルを定め、その条件に合う人材を採用・配置する雇用の考え方です。
職務ごとに求める能力を明確にすることで、企業は採用基準を設定しやすくなり、候補者も自分の経験やスキルを生かせる仕事かどうかを判断しやすくなります。
また、入社後も担当業務や期待される成果が共有されるため、役割の認識違いを防ぎやすくなります。評価についても、職務上の目標や成果を基準にできるため、評価基準の透明性や納得感を高める効果が期待できます。
ただし、職務内容を細かく限定しすぎると、組織変更や新しい業務に対応しにくくなる場合があります。担当範囲を明確にしつつ、状況に応じて見直せる余地を残しておくことが大切です。
専門人材やグローバル人材の確保
ITエンジニアやデータ分析、デジタルマーケティングなどの専門職では、同じ職種名でも企業によって担当業務や必要な技術が大きく異なります。
そこで、使用するツールや開発環境、担当するプロジェクト、求める経験などをジョブディスクリプションに具体的に記載することで、採用したい人材へ仕事内容を正確に伝えやすくなります。
また、海外人材を採用する場合は、職務範囲や責任、評価基準を明文化しておくことが、認識のずれを防ぐうえで重要です。働き方や雇用慣行が異なる人材に対しても、共通の基準を示すことができます。
リモートワークや副業人材の活用が広がるなかでも、誰が何を担当し、どのような成果を求めるのかを明確にする必要があります。ジョブディスクリプションは、多様な働き方や専門人材を受け入れるための土台としても活用されています。
ジョブディスクリプションのメリット
ジョブディスクリプションを作成すると「誰が何を担当するのか」「どのような成果を期待するのか」が明確になります。
採用時のミスマッチを減らすだけでなく、人事評価や人材育成、業務分担にも共通の基準を持てることが大きなメリットです。
採用時のミスマッチを減らせる
採用活動では、求人票だけでは仕事内容や求める役割を十分に伝えきれないことがあります。企業側は「ここまで担当してほしい」と考えていても、求職者は「そこまでの業務は想定していなかった」というズレが生まれることもあります。
ジョブディスクリプションで担当業務や責任範囲、必要なスキル、期待する成果を具体的にしておけば、求職者も仕事内容を理解したうえで応募を判断できます。
入社前に仕事の内容や期待される役割を共有しておくことで「思っていた仕事と違った」というミスマッチを減らしやすくなります。
面接でも、ジョブディスクリプションを基準に経験やスキルを確認できるため、面接官ごとに確認するポイントが大きく変わることを防ぐ効果も期待できます。
人事評価の基準を明確にできる
社員を公平に評価するためには「何をどこまでできれば評価されるのか」が明確になっていることが重要です。
ジョブディスクリプションに職務内容や責任、求める成果を定めておけば、上司の印象だけではなく、担当する役割や成果をもとに評価しやすくなります。
評価する側と評価される側が共通の基準を持つことで、人事評価への納得感を高めやすくなります。
また、部署や評価者による判断のばらつきを抑えるうえでも役立ちます。ただし、ジョブディスクリプションを作成するだけで評価が公平になるわけではありません。実際の評価制度や目標設定と連動させて運用することが大切です。
関連記事:人事評価制度が機能しない理由とは?中小企業で形骸化する原因と改善方法
キャリアの方向性を考えやすくなる
ジョブディスクリプションは、現在の仕事を整理するだけでなく、社員が今後のキャリアを考える際にも活用できます。
たとえば、現在の職務と一つ上の役職・職種に求められるスキルを比較すれば、「次のポジションに進むために何が足りないのか」が見えやすくなります。
目指す役割と必要なスキルがわかれば、本人も研修や実務経験など、次に取り組むべきことを考えやすくなります。
企業側にとっても、社員ごとに必要な育成内容を整理しやすくなり、研修や配置転換、後継者育成などの人材育成施策につなげられます。
関連記事:若手採用・育成を成功させる方法|若手社員の定着率を高めるポイント
役割分担が明確になり、業務を進めやすくなる
組織が大きくなるにつれて「この仕事は誰が担当するのか」「どこまでが自分の責任なのか」が曖昧になりやすくなります。その結果、同じ仕事を複数人が進めたり、反対に誰も対応していない業務が発生したりすることがあります。
ジョブディスクリプションによって担当業務や責任範囲を整理しておけば、社員同士の役割分担がわかりやすくなります。
業務の重複や抜け漏れを減らし、それぞれが自分の役割に集中しやすくなることもメリットの一つです。
ただし、仕事内容を細かく固定しすぎると「書かれていない仕事は担当しない」という状況を招く可能性もあります。事業や組織の変化に合わせて内容を定期的に見直し、必要に応じて役割を更新していくことが重要です。
ジョブディスクリプションのデメリット
ジョブディスクリプションは、職務や責任を明確にできる一方、細かく決めすぎると仕事の幅を狭めてしまうことがあります。また、作成して終わりではなく、実際の業務に合わせて更新していく必要があります。
大切なのは、ジョブディスクリプションを固定されたルールとして扱うのではなく、採用方針や組織の変化に合わせて見直していくことです。
新卒採用では使い方に工夫が必要
ジョブディスクリプションは、特定の職務に必要な経験やスキル、責任を明確にするため、中途採用や専門職の採用と相性のよい仕組みです。
一方、日本の新卒採用では、入社時点で担当する仕事を細かく決めず、研修や配属後の経験を通じて適性を見極める企業も少なくありません。そのため、中途採用と同じように経験やスキルを細かく設定すると、応募できる学生が限られてしまう可能性があります。
新卒採用では、現時点で持っているスキルだけでなく、入社後に期待する役割や身につけてほしい能力を中心に記載するとよいでしょう。
採用時の条件を細かく決めすぎず、学習意欲や適性、将来性も含めて判断できる内容にすることで、新卒採用でも活用しやすくなります。
職務を限定しすぎると柔軟に動きにくくなる
担当業務や責任範囲が明確になることはジョブディスクリプションのメリットですが、細かく決めすぎると「書かれていない仕事は自分の担当ではない」という意識につながることがあります。
特に中小企業では、一人が複数の役割を担ったり、部署を越えて協力したりする場面も少なくありません。新しい事業やプロジェクトが始まれば、当初は想定していなかった仕事を担当することもあります。
仕事内容をすべて固定するのではなく、中心となる役割と責任を明確にしたうえで、状況に応じて関連業務を担当できる余地を残しておくことが大切です。
ジョブディスクリプションは「ここに書かれた仕事しかしない」と線を引くためのものではありません。社員と会社の間で、役割や期待する成果について認識をそろえるためのものとして活用しましょう。
作成と定期的な更新に手間がかかる
実際の仕事に合ったジョブディスクリプションを作るには、人事担当者だけで内容を決めるのではなく、対象となる社員や上司へのヒアリングが必要です。
日々の仕事内容だけでなく、業務ごとの比重や必要なスキル、責任と権限の範囲まで整理するため、職種や部署が多い企業ほど作成に時間がかかります。
さらに、組織体制や仕事内容が変われば、ジョブディスクリプションも見直さなければなりません。数年前に作った内容をそのまま使い続けていると、実際の仕事とのズレが大きくなり、採用や人事評価にも使いにくくなります。
最初からすべての職種を整備する必要はありません。採用する機会が多い職種や、社内で役割が曖昧になっているポジションから作成すると進めやすくなります。
あわせて、半年や1年に一度など見直すタイミングを決めておくと、作成したまま放置されることを防げます。
ジョブディスクリプションの作成方法
ジョブディスクリプションを作成するときは、人事担当者だけで仕事内容を決めるのではなく、実際の業務を確認するところから始めます。
「現場から情報を集める」「必要な情報を整理する」「ジョブディスクリプションに落とし込む」の3ステップで進めると作成しやすくなります。
ステップ1:対象となる職務についてヒアリングする
まずは、その職務で実際にどのような仕事をしているのかを把握します。人事担当者が想定している仕事内容と、現場で行われている仕事が一致しているとは限らないためです。
対象となる社員や上司に、日々の業務内容、担当範囲、責任、必要なスキル、他部署との関わりなどをヒアリングします。業務をいくつか挙げてもらうだけでなく、それぞれにどの程度の時間を使っているのか、どの業務の重要度が高いのかまで確認すると整理しやすくなります。
現在の仕事内容だけでなく「このポジションに本来何を任せたいのか」「どのような成果を期待しているのか」まで確認することがポイントです。
既存の求人票や人事制度の資料、過去に作成した職務記述書などがあれば、あわせて確認しておきましょう。ただし、古い資料をそのまま転用するのではなく、現在の業務と合っているかを確認する必要があります。
ステップ2:集めた情報を整理する
ヒアリングが終わったら、集めた情報をそのまま書き始めるのではなく、職務ごとに整理します。
特に確認したいのは、中心となる業務は何か、どこまで責任を持つのか、どのような成果を求めるのか、そのために必要な経験やスキルは何かという点です。
このとき注意したいのが「現在担当している仕事」と「その職務として本来担当してほしい仕事」を混同しないことです。
特定の社員が得意だから担当している業務まで含めると、その人にしか当てはまらないジョブディスクリプションになってしまいます。
個人の仕事内容をまとめるのではなく、そのポジションに求める役割や責任を整理することが重要です。
また、必要な経験や資格を増やしすぎると採用できる人材が限られるため、「必須」と「あると望ましいもの」に分けて考えるとよいでしょう。
ステップ3:ジョブディスクリプションに落とし込む
情報を整理できたら、実際にジョブディスクリプションを作成します。企業によって形式は異なりますが、主に以下のような内容を記載します。
- 職種・ポジション名
- 職務の目的・ミッション
- 具体的な仕事内容
- 責任と権限の範囲
- 期待する成果・目標
- 上司や他部署との関係
- 必要な経験・スキル
- 歓迎する経験・スキル
採用に使用する場合は、必要に応じて雇用形態や勤務地、勤務時間などの情報を加えます。
誰が読んでも「何をする仕事なのか」「何を期待されているのか」がわかる内容になっているかを確認しましょう。
完成したら、人事担当者だけで確認せず、対象となる社員や上司にも内容を見てもらいます。実際の仕事とのズレや抜けている業務がないかを確認し、必要に応じて修正すれば完成です。
ジョブディスクリプションの作成や職務整理にお悩みの企業様はお気軽にご相談ください。
ジョブディスクリプションの記載項目と記載例
ジョブディスクリプションに決まった書式はありませんが、職務の目的や仕事内容、責任の範囲、必要なスキルなどを記載するのが一般的です。
大切なのは項目を埋めることではなく、読んだ人が「何を任される仕事なのか」「どのような成果を期待されているのか」を理解できる内容にすることです。
ここでは、実際に作成するときに押さえておきたい主な項目と記載例を紹介します。
職種・ポジション名・職務等級
最初に、その職務が何なのかを特定するための基本情報を記載します。職種やポジション名に加えて、人事制度上の等級が設定されている企業では職務等級も記載します。
たとえば、職種を「Webマーケティング」、ポジション名を「Webマーケティングマネージャー」、職務等級を「マネージャークラス」といった形で整理します。
社内独自の名称だけでは仕事内容が伝わりにくい場合は、一般的に使われている職種名を併記するとわかりやすくなります。
職務概要・具体的な仕事内容
職務概要では、そのポジションが何のために存在し、どのような役割を担うのかを簡潔にまとめます。
たとえばWebマーケティング担当者であれば、「Webサイトへの集客と問い合わせの増加を目的に、SEOや広告運用、アクセス解析などの施策を企画・実行する」といった書き方ができます。
そのうえで、具体的な仕事内容を記載します。
- SEO施策の企画・実行:30%
- Web広告の運用・改善:25%
- アクセス解析・レポート作成:20%
- コンテンツの企画・制作:15%
- 社内外との打ち合わせ:10%
業務の比重まで記載しておくと、単に仕事内容を並べるよりも、どの業務が中心となるポジションなのかが伝わりやすくなります。
期待する成果・ミッション
仕事内容とあわせて、そのポジションに何を期待しているのかも明確にします。
営業職なら「新規顧客の獲得」、マーケティング職なら「問い合わせ数の増加」、管理職なら「チーム目標の達成やメンバーの育成」など、職務によって求める成果は異なります。
「何をするか」だけでなく、「その仕事を通じて何を実現してほしいのか」まで記載することがポイントです。
ただし、売上や契約件数などの数値は事業状況によって変わることがあります。ジョブディスクリプションには役割や成果の方向性を記載し、具体的な数値目標は人事評価や目標管理で設定する方法もあります。
組織内での位置づけ・関係する部署
仕事は一人で完結するとは限りません。誰の指示を受け、どの部署やメンバーと連携するのかも記載しておきます。
たとえば「マーケティング部長のもとで業務を行い、営業部と連携して見込み顧客の獲得を進める」と記載すれば、組織の中での位置づけがわかります。
管理職であれば、直属の部下が何人いるのか、どのチームを管理するのかといった情報を加えてもよいでしょう。
上司・部下・関係部署との関係を整理しておくと、入社後に「誰と何を進めればよいのかわからない」という状況を防ぎやすくなります。
責任・権限の範囲
そのポジションが何に責任を持ち、どこまで自分で判断できるのかを記載します。
たとえば管理職であれば「チームの業績管理」「メンバーの育成・評価」「一定金額までの予算執行」といった内容が考えられます。
責任だけを与えて権限がなければ、本人が判断するたびに上司の承認が必要になり、仕事を進めにくくなります。反対に、権限だけが曖昧に広い状態も適切ではありません。
何について責任を持ち、どこまで本人の判断に任せるのかをセットで整理することが重要です。
必要な経験・知識・スキル・資格
その職務を担当するために必要な経験や知識、スキルを記載します。
たとえばWebマーケティング担当者であれば「SEOまたはWeb広告の実務経験」「Google Analyticsなどを使ったアクセス解析の経験」といった内容が考えられます。
採用に使用する場合は「必須条件」と「歓迎条件」を分けておくと、求職者も応募できるか判断しやすくなります。
資格や学歴は、とりあえず条件に加えるのではなく、その職務を遂行するうえで本当に必要かを確認してから設定しましょう。
必要以上に条件を増やすと、仕事を任せられる能力があるにもかかわらず、条件を満たしていないという理由だけで候補者を除外してしまう可能性があります。
雇用形態・勤務地・勤務時間
採用時にジョブディスクリプションを使用する場合は、必要に応じて雇用形態や勤務地、勤務時間などの勤務条件も記載します。
たとえば「正社員」「勤務地:東京都内」「勤務時間:9時~18時」「週2日までリモートワーク可」など、実際の働き方がイメージできる内容にします。
ただし、これらは職務そのものを説明する情報というより、求人・雇用条件に関する情報です。社内の人事管理に使用するジョブディスクリプションであれば、必ずしもすべて記載する必要はありません。
ジョブディスクリプションのテンプレート
ジョブディスクリプションは、職種ごとに一から形式を考える必要はありません。基本となるテンプレートを用意しておけば、必要な項目の抜け漏れを防ぎ、社内で書き方を統一できます。
以下は、採用や人事管理で使いやすい基本的なテンプレートです。自社の人事制度や職種に合わせて、必要な項目を追加・削除してください。
【ジョブディスクリプション】
職種・ポジション名:
例:Webマーケティング担当
職務等級:
例:メンバークラス
職務の目的・ミッション:
例:Webサイトへの集客を増やし、問い合わせや商談の獲得につなげる
主な仕事内容:
・SEO施策の企画・実行
・Web広告の運用・改善
・アクセス解析
・コンテンツの企画・制作
・施策の効果測定とレポート作成
責任・権限:
例:担当するWebマーケティング施策の企画・実行・効果測定を行う
組織内での位置づけ:
例:マーケティング責任者に報告し、営業部と連携して施策を進める
必要な経験・スキル:
例:SEOまたはWeb広告運用の実務経験、アクセス解析の基礎知識
歓迎する経験・スキル:
例:コンテンツ制作、Webサイト改善、Google Analyticsを使った分析経験
期待する成果:
例:Webサイトへの流入増加、問い合わせ数の増加、各施策の継続的な改善
採用に使用する場合は、このほかに雇用形態や勤務地、勤務時間などを追加してもよいでしょう。
テンプレートはすべての項目を埋めることが目的ではありません。「このポジションには何を任せ、何を期待するのか」が伝わることを優先しましょう。
たとえばエンジニアであれば使用する技術や開発環境、営業職であれば担当顧客や営業範囲、管理職であれば部下の人数や決裁権限など、職種に応じて必要な項目を加えると実務で使いやすくなります。
ジョブディスクリプション導入時の注意点
ジョブディスクリプションは、作成すること自体が目的ではありません。細かく決めすぎたり、作成した内容を何年も放置したりすると、かえって実際の仕事とのズレが生まれます。
導入するときは「どこまで仕事内容を記載するか」と「誰がいつ更新するか」をあらかじめ決めておくことが大切です。
仕事内容を細かく決めすぎない
ジョブディスクリプションには、その職務の中心となる仕事内容や責任を記載します。ただし、日々発生する細かな業務まですべて書き出す必要はありません。
仕事内容を細かく決めすぎると、「ここに書かれていない仕事は担当しない」という認識につながり、部署を越えた協力や新しい仕事への対応が難しくなることがあります。
特に中小企業では、一人が複数の業務を担当したり、事業の状況によって役割が変わったりすることも珍しくありません。
日々のタスクをすべて列挙するのではなく、その職務の中心となる役割、責任、期待する成果を明確にすることを意識しましょう。
作成後は、実際にその仕事を担当する社員や上司にも確認してもらいます。人事担当者だけで作成すると、現場ではほとんど行われていない仕事が含まれたり、反対に重要な役割が抜けたりする可能性があるためです。
定期的に内容を見直す
ジョブディスクリプションは、一度作成したら完成というものではありません。新しいサービスの開始や組織変更、業務のデジタル化などによって、仕事内容や求められるスキルは変わっていきます。
内容が古いままだと、採用時に説明した仕事内容と入社後の仕事が異なったり、現在の役割と合わない基準で人事評価を行ったりする原因になります。
少なくとも年に1回を目安に、実際の仕事内容とジョブディスクリプションにズレがないか確認するとよいでしょう。
ただし、必ず1年待つ必要はありません。組織変更や異動、新しいシステムの導入など、仕事内容が大きく変わったタイミングで見直すことも重要です。
また「人事部が管理する」「各部署の責任者が変更内容を確認する」など、更新する担当者を決めておくと放置されにくくなります。ジョブディスクリプションを実際の仕事に合った状態に保つことで、採用や人事評価、人材育成にも継続して活用できます。
まとめ|ジョブディスクリプションは作成後の運用が重要
ジョブディスクリプションは、職務内容や期待する成果、必要なスキル、責任・権限の範囲を明確にするための文書です。採用時に活用することで、求職者が仕事内容を具体的に理解しやすくなり、応募後や入社後のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
また、社員の役割や評価基準が明確になるため、人事評価の公平性を高めたり、キャリア形成に必要なスキルを整理したりする際にも役立ちます。
ただし、現場の実態と合わない内容や、細かすぎる職務範囲を設定すると、かえって運用しづらくなります。作成時には人事部門だけで決めるのではなく、実際に業務を担当する社員や上司へヒアリングし、現場の仕事内容を正確に反映することが重要です。
さらに、事業方針や組織体制、使用するツールが変われば、求められる役割やスキルも変化します。一度作成して終わりにせず、定期的に内容を確認し、実際の業務とのずれを修正していきましょう。
株式会社Tsumuguでは、採用基準の設計や職務内容の整理、人事評価制度の見直しなど、企業の採用・人事・組織づくりを支援しています。自社に合ったジョブディスクリプションの作り方にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。





















