外国人採用とは?在留資格・雇用手続き・成功のポイントをわかりやすく解説

外国人採用とは?在留資格・雇用手続き・成功のポイント

人手不足の深刻化を背景に、外国人採用に取り組む企業が増えています。製造業や介護、飲食業だけでなく、ITや営業職など幅広い職種で外国人材が活躍する時代になりました。

一方で、外国人採用は日本人採用とは異なり、在留資格の確認や雇用手続き、受け入れ体制の整備など、事前に押さえておくべきポイントが数多くあります。制度を十分に理解しないまま採用を進めると、不法就労や在留資格違反などのリスクにつながる可能性もあります。

この記事では、外国人採用の基礎知識から在留資格の種類、採用の流れ、雇用時の注意点、定着率を高めるポイントまで、中小企業の採用担当者にもわかりやすく解説します。

目次

外国人採用を始める前に準備しておきたいこと

外国人採用を成功させるためには、求人を出す前の準備が重要です。日本人採用と比べて、在留資格や雇用手続き、受け入れ体制など確認すべき項目が多いため、事前の準備不足が採用後のトラブルにつながるケースも少なくありません。

まず確認したいのが、採用したい職種で外国人を雇用できる在留資格があるかどうかです。在留資格によって従事できる仕事内容は異なるため、募集内容と在留資格が一致しているかを確認する必要があります。

また、雇用契約書や労働条件通知書、社会保険の加入手続きなど、外国人採用でも日本の労働関係法令を遵守しなければなりません。制度を正しく理解し、安心して働ける環境を整えることが企業には求められます。

さらに、採用後の受け入れ体制も重要です。仕事の進め方や社内ルール、日本独自の商習慣などを丁寧に伝えることで、入社後の不安を軽減し、早期離職の防止につながります。

担当する仕事内容を明確にする

外国人採用では、募集する仕事内容を具体的に示すことが大切です。

仕事内容が曖昧なまま採用すると、「思っていた仕事と違った」というミスマッチが起こりやすく、早期退職につながる可能性があります。

募集時には、担当業務だけでなく、必要なスキルや経験、勤務時間、入社後に期待する役割などをできるだけ具体的に伝えましょう。仕事内容が明確になるほど、企業と求職者の認識のズレを防ぎやすくなります。

また、選考時には仕事内容を十分に説明し、候補者が理解できているか確認することも重要です。言語や文化の違いにも配慮しながら採用を進めることで、入社後の定着率向上にもつながります。

関連記事:採用マーケティングとは?「求人を出しても応募が来ない」を解決する実践ガイド

外国人労働者を採用するメリット

外国人労働者を採用するメリットとして多様な視点、人材確保、海外対応を示した図

外国人採用は、人手不足への対応だけが目的ではありません。企業に新しい視点を取り入れたり、海外市場への対応力を高めたりと、事業成長につながるさまざまなメリットがあります。

ここでは、多くの企業が外国人採用に取り組む主な理由をご紹介します。

多様な視点や価値観を組織に取り入れられる

異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、これまで社内になかった発想やアイデアが生まれやすくなります。

商品・サービスの企画や業務改善、マーケティングなど、さまざまな場面で新しい視点が加わることは企業にとって大きな強みです。多様な人材が活躍できる環境は、組織全体の活性化にもつながります。

人手不足の解消につながる

少子高齢化によって労働人口が減少する中、多くの業界で人材確保が課題となっています。

製造業や介護、建設業、宿泊業、飲食業などでは、外国人材を受け入れることで採用の選択肢を広げる企業が増えています。

ただし、外国人採用は人手不足を補うためだけではなく、長く活躍してもらうことを前提に受け入れ体制を整えることが重要です。

海外市場への対応力を高められる

母国の言語や文化に精通した人材を採用することで、海外との取引や外国人顧客への対応がしやすくなります。

海外進出を予定している企業はもちろん、日本国内でも訪日外国人の増加に伴い、多言語での接客やサポートが求められる場面は増えています。

外国人社員の知識や経験を活かすことで、海外向けのマーケティングや商品開発など、新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

外国人採用で注意したいポイント

外国人採用には多くのメリットがありますが、日本人採用とは異なる点もあります。

しかし、その多くは事前に準備やルールを整えることで対応できるものです。ここでは、外国人採用を進めるうえで企業が押さえておきたいポイントをご紹介します。

言語によるコミュニケーションの違い

日本語能力には個人差があるため、業務内容によっては指示が正確に伝わらないことがあります。

特に専門用語や曖昧な表現は誤解を招きやすいため、誰が読んでも理解できるマニュアルや、分かりやすい言葉での説明を心掛けることが大切です。

文化や価値観の違い

仕事に対する考え方やコミュニケーションの取り方、時間に対する感覚などは国や地域によって異なります。

日本では当たり前と思われているルールでも、外国人社員にとっては初めて知る内容であることも少なくありません。

入社時に就業ルールや企業文化を丁寧に説明し、お互いの価値観を尊重できる環境をつくることが重要です。

在留資格や雇用手続きの管理が必要

外国人を採用する場合は、在留資格で認められた業務内容かどうかを確認し、必要な雇用手続きを適切に行う必要があります。

また、在留期間の更新や行政への届出など、日本人採用にはない管理業務も発生します。

制度を十分に理解できない場合は、行政書士や社会保険労務士などの専門家へ相談することも有効です。

法令を遵守しながら採用を進めることが、企業と外国人社員の双方にとって安心できる雇用につながります。

事例:多言語対応で職場環境を改善した食品加工会社

地方で食品加工業を営むA社では、人手不足を補うために外国人社員を採用しました。しかし、作業指示の伝達不足や報告・連絡・相談の認識の違いから、現場でミスや行き違いが発生するようになりました。

そこでA社は、作業マニュアルを多言語化するとともに、日本語研修や社内交流の機会を設けました。その結果、コミュニケーションが改善され、業務上のトラブルも減少。現在では外国人社員が現場の中心メンバーとして活躍しています。

外国人採用で起こりやすい課題の多くは、受け入れ体制を整えることで改善できます。採用だけでなく、入社後のサポートまで見据えて準備することが成功のポイントです。

在留資格の種類と就労制限

外国人の在留資格を就労制限なし・範囲内で就労・原則就労不可の3種類に分類した図

外国人を採用する際は、本人が持つ在留資格だけでなく、自社で任せる業務がその在留資格で認められているかを確認する必要があります。

在留資格は、就労の可否によって大きく次の3つに分けられます。

  • 職種や業務内容に制限なく働ける在留資格
  • 認められた範囲でのみ働ける在留資格
  • 原則として働くことができない在留資格

在留カードの表面に記載された「就労制限の有無」に加え、裏面の「資格外活動許可欄」、在留期間の満了日なども確認しましょう。「特定活動」の場合は、パスポートに添付された指定書の確認も必要です。

職種や業務内容に制限なく働ける在留資格

「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は、身分や地位に基づく在留資格です。これらの在留資格を持つ外国人は、職種や業務内容に原則として制限がなく、正社員・契約社員・アルバイトなどの雇用形態を問わず働けます。

ただし、就労制限がない場合でも、採用時には在留カードで在留資格や在留期間を確認する必要があります。

永住者

法務大臣から永住許可を受けた外国人に与えられる在留資格です。職種や労働時間に在留資格上の制限はなく、在留期間の更新も必要ありません。ただし、在留カードには有効期間があるため、カード自体の更新は必要です。

定住者

日系人や第三国定住難民など、個別の事情を考慮して一定期間の在留を認められた外国人が対象です。職種を問わず働けますが、在留期間が定められているため、期限を迎える前に更新手続きが必要です。

日本人の配偶者等

日本人の配偶者や特別養子、日本人の子として出生した人などが対象です。職種や雇用形態に関する就労制限はありません。

永住者の配偶者等

永住者または特別永住者の配偶者、日本で出生して引き続き在留している子などが対象です。「日本人の配偶者等」と同様に、職種や雇用形態を問わず働けます。

認められた範囲で働ける在留資格

就労を目的とする在留資格では、資格ごとに従事できる業務が定められています。在留資格の名称だけで判断せず、採用後に任せる具体的な業務との一致を確認することが重要です。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人を採用する場合でも、専門性を必要としない単純作業を主な業務として任せることはできません。

認められた範囲を超えて働かせると、本人だけでなく企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。判断が難しい場合は、就労資格証明書を確認するか、地方出入国在留管理局や行政書士などの専門家に相談しましょう。

技術・人文知識・国際業務

システムエンジニア、機械設計、経理、人事、法務、マーケティング、通訳・翻訳、海外取引業務など、自然科学や人文科学の知識、外国文化に基づく思考や感受性を必要とする業務が対象です。

本人の学歴・職歴と業務内容との関連性も審査されます。例えば、エンジニアとして許可を受けた外国人に、飲食店の接客や工場のライン作業を主な業務として任せることはできません。

技能

外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属加工職人など、産業上の特殊な分野に属する熟練技能を必要とする業務が対象です。

職種によって一定年数以上の実務経験などが求められます。採用後も、許可を受けた熟練技能と関係のない業務を主な仕事として任せることはできません。

特定技能1号・2号

人材確保が難しい特定産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。介護、建設、農業、外食業、飲食料品製造業、宿泊、自動車整備など、制度で定められた分野が対象となります。

特定技能1号には通算の在留期間に上限があり、原則として家族の帯同は認められません。また、受入れ企業には、外国人に対する生活・就労支援を実施する義務があります。

特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人が対象です。在留期間の更新回数に上限がなく、一定の条件を満たせば配偶者や子どもの帯同も認められます。

特定技能は対象分野や業務区分が見直されることがあるため、採用時点の最新情報を確認してください。

技能実習

技能実習は、日本で培われた技能や知識を開発途上地域などへ移転することを目的とした制度です。人手不足を補うための制度ではなく、認定された技能実習計画に沿って実習を行う必要があります。

実習生に任せられる職種や作業は決まっており、計画にない業務へ自由に変更することはできません。受入れ企業には、実習計画に沿った指導や労働環境の整備が求められます。

企業内転勤

海外にある親会社・子会社・支店などから、日本国内の関連拠点へ期間を定めて転勤する外国人が対象です。従事できるのは、原則として「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務です。

同じ企業グループ内の転勤であっても、店舗での接客や製造現場の単純作業など、在留資格で認められていない業務を主な仕事として任せることはできません。

高度専門職1号・2号

高度な専門知識や技術を持つ外国人を対象とした在留資格です。学歴、職歴、年収、研究実績などを点数化し、一定以上のポイントを満たす必要があります。

研究活動、専門・技術活動、経営・管理活動など、許可を受けた活動の範囲で働くことが前提です。複数の活動が認められる場合もありますが、どのような仕事でも自由にできるわけではありません。

原則として働くことができない在留資格

「留学」「家族滞在」「文化活動」「研修」「短期滞在」などは、就労を主な目的とする在留資格ではありません。そのため、原則として報酬を受けて働くことはできません。

ただし、「留学」や「家族滞在」などでは、資格外活動許可を受けることで、一定の範囲内に限って働ける場合があります。採用時には、在留カード裏面の資格外活動許可欄を必ず確認しましょう。

留学

日本の大学、専門学校、日本語教育機関などで学ぶ外国人を対象とした在留資格です。学業が主な活動となるため、原則として働くことはできません。

資格外活動許可を受けている場合は、原則として1週間に28時間以内のアルバイトが可能です。教育機関が定める夏休みや冬休みなどの長期休業期間中は、1日8時間以内まで働けます。

複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、勤務時間は勤務先ごとではなく、すべての勤務先を合計して計算します。また、資格外活動許可があっても、風俗営業や風俗関連営業に関わる場所では働けません。

家族滞在

就労資格などを持つ外国人に扶養される配偶者や子どもを対象とした在留資格です。家族として生活することが目的であるため、原則として働くことはできません。

資格外活動許可を受けている場合は、原則として1週間に28時間以内のアルバイトが可能です。留学生と同様に、複数の勤務先で働く場合は合計の労働時間で判断します。

文化活動

日本文化や日本固有の技芸について、収入を伴わずに研究・修得する外国人などが対象です。茶道、華道、日本舞踊、日本文化の研究などが該当します。

原則として報酬を受ける活動はできませんが、事前に資格外活動許可を受ければ、許可された範囲内で働ける場合があります。

研修

日本の企業や公私の機関で、技能や知識を学ぶ外国人を対象とした在留資格です。実務を通じて賃金を得ることではなく、非実務的な研修によって技術などを修得することを目的としています。

企業が労働者と同じように業務を指示し、実務に従事させる場合は、研修ではなく別の在留資格に該当する可能性があります。

短期滞在

観光、親族訪問、商談、会議への参加、業務連絡などを目的として短期間滞在する外国人が対象です。一般的な在留期間は15日、30日または90日です。

短期滞在では、商談や会議への参加などはできますが、日本国内で雇用され、報酬を受けて働くことは原則として認められていません。インターンシップや研修であっても、活動内容や報酬の有無によって必要な在留資格が異なるため、受入れ前の確認が必要です。

外国人を採用するときに確認する項目

外国人との雇用契約を結ぶ前に、少なくとも次の項目を確認しましょう。

  • 在留カードが有効なものか
  • 在留資格と在留期間の満了日
  • 在留カード表面の「就労制限の有無」
  • 在留カード裏面の「資格外活動許可欄」
  • 採用後の業務が在留資格で認められた範囲に含まれるか
  • 「特定活動」の場合は指定書に記載された活動内容

「在留カードを持っているから働ける」とは限りません。在留資格と実際の業務内容が合っているかまで確認することが、不法就労を防ぐうえで重要です。

外国人を採用するまでの雇用手続き

外国人を採用する場合も、募集、選考、内定、雇用契約という基本的な流れは日本人の採用と変わりません。ただし、採用前に在留資格と業務内容が一致しているかを確認し、必要に応じて在留資格の取得・変更手続きを進める必要があります。

外国人採用の主な流れは次のとおりです。

  1. 任せる業務と必要な在留資格を確認する
  2. 在留カードや学歴・職歴を確認する
  3. 雇用契約書や労働条件通知書を作成する
  4. 在留資格の取得・変更手続きを行う
  5. 入社後に社会保険や外国人雇用状況の届出を行う

必要な手続きは、海外から呼び寄せる場合、日本にいる留学生を新卒採用する場合、就労中の外国人を中途採用する場合など、採用時点の状況によって異なります。

海外にいる外国人を日本で採用する場合

海外に住む外国人を採用する場合は、内定を出したあと、日本で予定している業務に対応した在留資格を取得する必要があります。

一般的には、企業や申請取次者が日本国内の地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行います。証明書が交付されたら外国人本人へ送り、本人が現地の日本大使館や総領事館で査証を申請します。その後、査証の発給を受けてから日本へ入国する流れです。

在留資格認定証明書の申請では、一般的に次のような書類が必要になります。

  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 具体的な仕事内容を説明する書類
  • 企業の登記事項証明書や決算関係書類
  • 本人の卒業証明書や職歴証明書
  • 本人の顔写真やパスポートの写し

必要書類は、申請する在留資格や企業の区分によって異なります。書類の不足や仕事内容の説明が曖昧な場合は審査が長引く可能性があるため、入社予定日から逆算して余裕を持って準備しましょう。

在留資格の取得前に就労を開始することはできません。入社日を決める際は、審査期間だけでなく、査証申請、渡航、住居の確保などにかかる期間も考慮する必要があります。

入国後の生活を円滑に始められるよう、住居探し、住民登録、銀行口座の開設、携帯電話の契約などを支援することも有効です。特に特定技能1号の外国人を受け入れる場合は、制度で定められた支援を行わなければなりません。

外国人留学生を新卒採用する場合

日本の大学や専門学校などに通う外国人留学生を新卒採用する場合は、原則として「留学」から就労可能な在留資格への変更が必要です。

変更先として多いのは「技術・人文知識・国際業務」ですが、どの在留資格に変更するかは、採用後の仕事内容や本人の学歴・専攻によって異なります。採用する職種と大学・専門学校で学んだ内容に関連性があるかも確認しましょう。

企業側は、雇用契約書、労働条件通知書、仕事内容を説明する資料、会社概要など、申請に必要な書類を用意します。申請は本人が行うのが原則ですが、企業側の書類が揃わなければ手続きを進められません。

審査が卒業後までに終わらない可能性もあるため、内定後は早めに準備を始めることが大切です。在留資格の変更が許可されるまでは、正社員としての就労を開始できません。

選考時には、日本語能力だけで判断せず、仕事内容、配属先、評価基準、キャリアの見通しを具体的に伝えましょう。専門用語や社内独自の表現を避け、本人が理解できているかを確認することで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

関連記事:中小企業の新卒採用を成功させる方法|少人数でも成果を出す3つの採用戦略

外国人を中途採用する場合

日本ですでに働いている外国人を中途採用する場合は、在留カードを確認し、現在の在留資格で転職後の業務に従事できるかを判断します。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、転職後も同資格の範囲に含まれる仕事に就く場合、通常は在留資格を変更する必要はありません。ただし、在留資格が同じでも、本人の学歴・職歴と新しい仕事内容との関係によっては、次回の更新が認められない可能性があります。

転職後の業務が現在の在留資格の範囲に含まれるか不明な場合は、本人に「就労資格証明書」を取得してもらう方法があります。就労資格証明書は、新しい勤務先で予定している仕事が、現在の在留資格で認められるかを確認するための書類です。

現在の在留資格では新しい業務に従事できない場合は、就労開始前に在留資格変更許可申請が必要です。在留資格の変更が許可される前に、対象外の仕事を任せないよう注意してください。

「技術・人文知識・国際業務」や「技能」「特定技能」などの在留資格を持つ外国人は、転職によって契約機関が変わった場合、原則として本人が14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。企業からも手続きについて案内しておくと安心です。

外国人アルバイト・パートを採用する場合

留学生や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人をアルバイト・パートとして採用する場合は、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を確認します。

在留カードの表面に「就労不可」と記載されていても、裏面に資格外活動許可の記載があれば、許可された範囲内で働ける場合があります。許可を受けていない外国人を雇用することはできません。

包括的な資格外活動許可を受けた留学生や家族滞在者が働ける時間は、原則として1週間に28時間以内です。留学生は、教育機関が定める夏休みや冬休みなどの長期休業期間に限り、1日8時間以内まで働けます。

勤務時間を管理する際は、次の点に注意しましょう。

  • 複数の勤務先で働いている場合は、すべての勤務時間を合計する
  • 残業時間も上限時間に含めて管理する
  • 留学生が休学中または退学後ではないか確認する
  • 在留期間の満了日を定期的に確認する
  • 風俗営業や風俗関連営業に関わる業務へ従事させない

外国人本人から「週28時間まで働ける」と聞いただけで判断せず、企業が在留カードの原本を確認してください。在留カードの写しを保管する場合は、個人情報として適切に管理する必要があります。

なお、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は就労する職種や時間に在留資格上の制限がないため、資格外活動許可は必要ありません。

外国人雇入れ後に必要な手続き

外国人を雇い入れたあとは、労働条件の明示、社会保険・労働保険の手続き、外国人雇用状況の届出などを行います。

外国人にも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働関係法令が適用されます。国籍を理由に、賃金や労働時間などの条件で差別的な取り扱いをすることは認められません。

雇用契約書・労働条件通知書を作成する

外国人を雇用する場合も、賃金、労働時間、就業場所、業務内容などの労働条件を書面などで明示する必要があります。

特に、在留資格の審査では業務内容が重要になるため、「会社が指定する業務」などの曖昧な表現だけで済ませず、採用後に担当する仕事を具体的に記載しましょう。

主に明示する項目は次のとおりです。

  • 契約期間と更新の有無
  • 就業場所と業務内容
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日
  • 基本給、手当、割増賃金、支払日
  • 試用期間中の労働条件
  • 退職や解雇に関する事項

日本語の書類を渡すだけでなく、本人が内容を理解できる言語や、やさしい日本語を使って説明することも大切です。税金や社会保険料、住居費などが給与から控除される場合は、手取り額の目安も説明しておくと認識の違いを防げます。

社会保険・労働保険の加入手続きを行う

外国人労働者にも、日本人と同じ基準で健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険が適用されます。外国人であることを理由に加入対象から外すことはできません。

ただし、すべての外国人が一律にすべての保険へ加入するわけではありません。勤務先の社会保険適用状況、契約期間、週の所定労働時間などをもとに、加入要件を満たすか判断します。

アルバイトやパートであっても、一定の要件を満たせば健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入対象になります。労災保険は、在留資格や労働時間にかかわらず、原則として雇用される労働者に適用されます。

外国人雇用状況をハローワークへ届け出る

事業主は、外国人を雇い入れたときと離職したときに、氏名、在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出なければなりません。対象には、正社員だけでなく、要件に該当する契約社員、派遣社員、アルバイト、パートも含まれます。

ただし、日本国籍を持つ人や特別永住者は、外国人雇用状況の届出対象ではありません。

届出方法と期限は、雇用保険の加入対象かどうかによって異なります。

雇用保険の被保険者となる場合

雇用保険被保険者資格取得届の所定欄に、在留資格や在留期間、国籍・地域などを記載して届け出ます。雇入れ時の提出期限は、原則として雇入れ日の属する月の翌月10日までです。

雇用保険の被保険者とならない場合

外国人雇用状況届出書を使用し、事業所を管轄するハローワークへ提出します。雇入れ時の提出期限は、原則として雇入れ日の属する月の翌月末日までです。

届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、罰則の対象となる可能性があります。入社手続きのチェックリストに加え、提出漏れを防ぎましょう。

在留期間と業務内容を継続して管理する

在留カードは、採用時に一度確認すれば終わりではありません。在留期間の満了日を管理し、更新時期が近づいたら本人へ早めに案内しましょう。

異動や組織変更によって仕事内容が変わる場合も注意が必要です。異動後の業務が在留資格の範囲を外れる可能性があるときは、実際に業務を変更する前に、地方出入国在留管理局や専門家へ確認してください。

外国人雇用では、採用時の在留資格確認と入社後の期限・業務管理を一連の手続きとして行うことが重要です。

外国人雇用の実務で注意すべき5つのポイント

外国人を採用したあとは、在留期間の管理だけでなく、業務内容や労働条件が本人に正しく伝わっているかも確認する必要があります。

日本人と同じ運用を基本としながら、言語や文化、在留資格の違いによって生じやすい問題をあらかじめ把握しておきましょう。

在留資格と在留期間を管理する

外国人本人の在留期間には期限があります。在留期限を過ぎた状態で働かせないよう、在留カードの満了日を社内で管理し、期限が近づいたら本人へ早めに案内しましょう。

在留期間の更新は原則として外国人本人が申請しますが、企業側にも雇用契約書、労働条件通知書、会社概要などの提出を求められる場合があります。必要な書類を速やかに用意できる体制を整えておくことが大切です。

また、部署異動や職種変更によって仕事内容が変わる場合は、新しい業務が現在の在留資格で認められているかも確認します。在留期間が残っていても、認められた範囲外の業務に従事させることはできません。

在留期限と業務内容の両方を管理することが、不法就労を防ぐ基本です。

試用期間の評価基準を明確にする

外国人労働者にも、日本人と同様に試用期間を設けることができます。ただし、「日本の職場に合わない」「コミュニケーションが取りづらい」といった曖昧な理由だけで評価するのは避けましょう。

試用期間中は、次のような項目を具体的に決めておくと評価しやすくなります。

  • 担当業務の進捗や達成度
  • 仕事の正確性や習得状況
  • 報告・連絡・相談の実施状況
  • 勤務態度や就業規則の遵守状況
  • 業務に必要な日本語での意思疎通

日本語能力を評価する場合も、日常会話の流暢さではなく、担当業務を安全かつ正確に進めるために必要な水準で判断します。

本人が職場のルールや指示を理解できていない場合は、能力不足と決めつける前に、説明方法に問題がなかったかを確認しましょう。定期的に面談を行い、期待する役割と改善点を具体的に伝えることが重要です。

健康診断を適切に実施する

外国人労働者にも、労働安全衛生法に基づく健康診断が日本人と同じように適用されます。常時使用する労働者など、法令上の対象者を雇い入れる際には雇入れ時健康診断を行い、その後も原則として年1回の定期健康診断を実施します。

健康診断の実施だけでなく、結果を本人へ通知し、必要に応じて再検査や就業上の配慮につなげることも企業の役割です。

専門用語の多い診断結果は、外国人労働者にとって理解しにくい場合があります。やさしい日本語や多言語資料を使い、本人が内容を理解できるように説明しましょう。

健康情報は要配慮個人情報にあたるため、在留カードやパスポートなどと同様に、閲覧できる担当者を限定して管理する必要があります。

就業規則と労働条件を理解できる形で伝える

就業規則を作成していても、外国人労働者が内容を理解できなければ、職場のルールが十分に伝わりません。

労働時間、休日、休暇、賃金、服務規律、懲戒、退職など、働くうえで重要な項目は、やさしい日本語や翻訳資料を使って説明しましょう。すべてを翻訳するのが難しい場合は、特にトラブルになりやすい項目から優先して多言語化する方法もあります。

日本の職場では当然と考えられているルールでも、外国人労働者には伝わっていない場合があります。例えば、遅刻や欠勤時の連絡方法、休暇申請の手順、残業の扱いなどは、具体例を交えて説明すると理解されやすくなります。

就業規則を渡すだけで終わらせず、本人が理解できたかまで確認することが、認識の違いによるトラブルを防ぐポイントです。

関連記事:ダイバーシティ経営とは?メリット・デメリットや進め方、企業事例をわかりやすく解説

国籍や文化の違いによるハラスメントを防ぐ

外国人労働者に対する差別的な発言や、文化・宗教を一方的に否定する言動は、職場環境を悪化させる原因になります。

例えば、次のような言動には注意が必要です。

  • 国籍や出身地域を理由に能力を決めつける
  • 名前や日本語の発音をからかう
  • 宗教上の食事や服装を一方的に否定する
  • 外国人であることを理由に仕事や昇進の機会を制限する
  • 本人が理解できていない状態で同意を求める

一方で、文化の違いを理由にすべての希望を受け入れる必要があるわけではありません。業務上必要なルールや安全基準は、理由を説明したうえで日本人と同じように守ってもらう必要があります。

相談窓口を設け、本人が相談できる担当者を明確にしておくことも有効です。外国人だけに異文化理解を求めるのではなく、受け入れる上司や同僚にも必要な知識を共有しましょう。

外国人材の採用後は、在留資格の管理だけでなく、評価基準や受け入れ体制、育成方法まで整える必要があります。社内だけでの対応が難しい場合は、採用・育成・評価に詳しい人事の専門家へ相談する方法もあります。

【無料】採用・育成・評価を一気通貫で支援する適性検査ツール「ツムイトHR」はこちら

外国人雇用で活用できる助成金

外国人を採用しただけで受け取れる助成金は、原則としてありません。ただし、外国人労働者が働きやすい環境を整えたり、非正規雇用から正社員へ転換したり、職業訓練を行ったりする場合は、助成金の対象になる可能性があります。

代表的な制度には、次のようなものがあります。

  • 人材確保等支援助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金

助成金ごとに、対象となる事業主や労働者、実施すべき取り組み、申請期限が異なります。外国人を雇用しているという理由だけで対象になるわけではないため、自社の取り組みに合う制度を選びましょう。

人材確保等支援助成金

外国人雇用に関連する代表的な制度が、人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。

言語や雇用慣行の違いに配慮した就労環境を整備し、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主を支援する制度です。

2026年度は、次のうち「雇用労務責任者の選任」と「就業規則等の多言語化」を行ったうえで、そのほかの対象制度を新たに導入・実施することが要件となっています。

  • 雇用労務責任者の選任
  • 就業規則等の多言語化
  • 苦情・相談体制の整備
  • 一時帰国のための休暇制度の整備
  • 社内マニュアルや標識類の多言語化

要件を満たした場合の支給額は、1制度の導入につき20万円、上限80万円です。受給するには、就労環境整備計画の認定を受け、取り組みを計画どおりに実施したうえで、外国人労働者の離職率などの要件を満たす必要があります。

翻訳料、通訳費、多言語標識の設置費、社会保険労務士などへの委託料が対象経費として認められる場合もあります。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者などの正社員化、処遇改善を行う事業主を支援する制度です。

外国人労働者も、在留資格や雇用状況、利用するコースの要件を満たせば対象になる場合があります。ただし、技能実習など、一部の在留資格や雇用形態は対象外になることがあります。

正社員化コースを利用する場合は、原則として取り組みを始める前にキャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局などへ提出します。助成金を利用する予定がある場合は、正社員へ転換してから確認するのではなく、計画段階で相談しましょう。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、従業員に職務に関連する訓練を実施した場合に、研修費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

外国人労働者も、雇用保険への加入状況や在留資格、訓練内容などの要件を満たせば対象になる場合があります。業務に必要な専門知識、デジタルスキル、管理職向け研修などを実施する企業は、利用できるコースがないか確認してみましょう。

日本語教育だけを目的とした研修など、訓練内容によっては対象にならない場合があります。研修を契約・実施する前に、対象経費や訓練時間の要件を確認することが重要です。

助成金を申請する前に確認すること

雇用関係助成金を申請するには、制度ごとの要件に加え、労働関係法令を守っていることや、必要な帳簿を整備していることなどが求められます。

申請前には、次の項目を確認しましょう。

  • 外国人が適法に就労できる在留資格を持っているか
  • 在留資格と実際の業務内容が一致しているか
  • 外国人雇用状況の届出を行っているか
  • 雇用保険や社会保険へ適切に加入しているか
  • 出勤簿、賃金台帳、雇用契約書を整備しているか
  • 残業代を含む賃金を適切に支払っているか
  • 過去に労働関係法令の重大な違反がないか

外国人労働者を適法に雇用していても、保険の加入漏れや賃金台帳の不備などがあれば、助成金を受け取れない可能性があります。

助成金申請の基本的な流れ

制度によって違いはありますが、外国人雇用に関する助成金は、一般的に次の流れで申請します。

  1. 自社が支給要件を満たしているか確認する
  2. 実施前に計画書を作成して提出する
  3. 計画の認定後に就労環境の整備や訓練を行う
  4. 賃金台帳や領収書などの証拠書類を保管する
  5. 所定の期間内に支給申請を行う
  6. 審査後に支給・不支給が決定される

助成金は、取り組みを実施したあとに申請すれば必ず支給されるものではありません。制度によっては、実施前の計画届が必要です。

助成金の利用を検討する場合は、設備の購入や翻訳の発注、正社員への転換、研修の開始前に要件を確認してください。

申請に必要となる主な書類

必要書類は制度によって異なりますが、一般的には次のような書類の提出を求められます。

  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • 就業規則
  • 出勤簿やタイムカード
  • 賃金台帳や給与明細
  • 在留資格を確認できる書類
  • 外国人労働者名簿
  • 取り組みに関する計画書や実施報告書
  • 翻訳料や研修費などの領収書・振込記録

申請期限を過ぎた場合や、計画と異なる方法で取り組みを実施した場合は、支給対象外となる可能性があります。申請前に管轄の労働局やハローワークへ相談し、最新の要件と提出期限を確認しましょう。

助成金の申請書類の作成や提出代行を依頼する場合は、社会保険労務士に相談してください。在留資格の申請と助成金の申請では、相談先となる専門家が異なる点にも注意が必要です。

まとめ

外国人採用は、人手不足の解消だけでなく、新しい視点や価値観を組織へ取り入れるきっかけにもなります。一方で、在留資格や雇用手続き、労務管理など、日本人採用とは異なる知識が求められるため、制度を正しく理解したうえで進めることが重要です。

また、採用がゴールではありません。入社後の教育や日本語でのコミュニケーション支援、異文化への理解を深める取り組みなど、安心して働ける環境を整えることが、定着率や活躍につながります。

外国人採用で成果を出している企業は、「採用」「受け入れ」「育成」を一体で考えています。制度への対応だけでなく、長く活躍できる職場づくりにも目を向けながら、自社に合った外国人採用を進めていきましょう。

採用・人事・組織づくりでお困りではありませんか?

中小企業の採用課題や人事制度、社員育成まで、貴社の状況に合わせて最適な改善策をご提案します。


無料相談する

ABOUT US
塔筋大樹株式会社Tsumugu代表取締役
同志社大学卒業後、地元金融機関へ新卒入社。その後、株式会社リクルートジョブズ(現リクルート)へ中途入社。求人広告営業として全国トップクラスの営業成績を収め、営業リーダーや代理店支援を担当。その後、Indeed特別認定パートナーの株式会社アド・イーグル執行役員として営業・人事・企画領域を管掌。現在は株式会社Tsumugu代表取締役として、中小企業の採用・育成・評価・定着に関する課題に対し、データとAIを活用した人事支援を行っている。